ブックタイトルConsultant277

ページ
23/60

このページは Consultant277 の電子ブックに掲載されている23ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant277

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant277

写真8近年実力をつけてきたカナダチーム写真9今回初出場の中国チームえ上がるものを感じる。それが雪合戦の魅力である。また、メディアの発達も大きく貢献してくれた。近年はユーチューブの動画で見て関心を寄せ、海外からの問い合わせも増えてきた。雪合戦の未来創成期から現在に至るまで、一貫してこの大会を支えてきたのは多くの町民ボランティアであることを忘れてはならない。人口2,600人のうち約400人が何らかの形で雪合戦に関わっている。若いスタッフは、会場を設営し、開会式を演出し、審判員も務める奮闘振りである。お年寄りも昭和新山は寒いので会場には行けないけれど、会場で販売する雪合戦鍋の野菜切りはできると公民館の調理室で働いている。一線を退いた重鎮たちも大会本部で来賓の接待役を務める。普段はあまり交流する機会が少ない町内各地区・異業種・異世代の町民が雪合戦の協同作業を通じて交流を深めている。企画・運営は全町的、かつ職種や世代の枠を越えて組織された実行委員会が中心となり、大会開催時だけでなく年間を通じた普及活動を続けている。本業が忙しい中でも、夜討ち朝駆けで各地の大会へ、指導や支援に走った。人前で話すことが苦手な人も先生になり、時には外国人を前に講習を行った。壮瞥町のスポーツを核とした地域づくり、しかも、既成のスポーツではなく、自らが産みの苦しみ、育てることの苦労を噛みしめながら積み上げてきた実績は、確実に町民の誇りと自信になっている。写真10ジュニア交流戦の様子壮瞥町は辺境の小さな町だが「雪合戦では世界の中心である」を合言葉に、多くの町民が関わり運営、普及を続けている。2018年2月の大会が第30回の節目である。創成期を支えたメンバーの子どもたちが担う時代を迎えている。そして、第28回大会からは「ジュニア交流戦」を開始し、次の世代への普及にも力を入れはじめている。雪合戦は「壮瞥町」や「昭和新山」の知名度向上、冬期間の経済効果拡大だけでなく、全国や世界の人々と町民の交流を促進させ、地域アイデンティティの向上に大きく貢献している。町民の夢は、平和の祭典・オリンピックの舞台で世界の国々が「友情の雪球」を投げ合うこと。そして、この雪合戦が世界各地で行われるようになっても、昭和新山は「雪合戦の聖地」であり、数ある大会の中でも昭和新山国際雪合戦こそが世界最高峰の大会であり続けたいと願う。その日を夢見て、北国の小さな町の大きな挑戦はこれからも続くのである。<写真提供>写真1?10昭和新山国際雪合戦実行委員会Civil Engineering Consultant VOL.277 October 2017021