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巻頭言Consultants「夢」を語れる業界へ兼塚卓也一般社団法人建設コンサルタンツ協会常任理事近畿支部長「担い手の確保」は、数年前から建設コンサルタント業界、いや建設業界全体の喫緊の課題である。その解決に向け、長時間労働対策、若手及び女性の活用促進制度など、就業環境の改善や働き方の見直しが行われ、数年前に比べ多くの改善が進んだ。このような施策に加え、建設業界のすばらしさをいろいろな人に伝え続ける努力も必要である。特に建設業界を知らない人に、子供たちに、またその親に、この業界で働きたいと思ってもらいたい。すばらしさの代表例が、この業界の仕事は「技術力で勝負できること」と、「国民の暮らしに大いに役立っていること」だと思う。「技術力で勝負できること」に関しては、この二十数年で大きな変化があった。1994年の『公共事業の入札・契約手続きの改善に関する行動計画』が閣議了承され、プロポーザル方式が導入されることになり、透明性、客観性、競争性が高まっていった。その後、2005年の『公共工事の品質確保の促進に関する法律』(通称:品確法)の施行、そして2014年の同法の改正により、公共工事の品質の確保には建設コンサルタントの技術力が重要と位置づけられ、その選定には技術力も考慮すべきことが法律で明記されたのである。現在では、国土交通省発注の業務では約85%がプロポーザル方式あるいは総合評価落札方式が採用されている。今後は地方公共団体などへの浸透を期待し、企業及び技術者ひとりひとりの技術力が評価される時代へとさらに進化してほしい。「国民の暮らしに役立っていること」に関しては、東日本大震災以降、防災・減災の重要性が市民レベルまで現実の問題として届き始めており、それには土木技術が大きく関わっているということが世間一般に浸透してきた。一方、東日本大震災では自衛隊や消防の活躍は多く報道されたが、彼らが活動できるよう建設業界の人間が真っ先に被災地に入り道路啓開を行ったことはあまり報道されていない。建設業界全体として広報戦略が必要である。すばらしさをもう一歩PRするために、「夢」のある業界であることを広めていきたい。いま関西では、東京一極集中の是正による関西の相対的地位の回復を目指し、そのために必要なインフラ整備の提案を進めている。リニア中央新幹線や北陸新幹線の大阪延伸が決定したことや、2025年の大阪万博誘致活動が活発なこともあり、今その気運が高まっている。そういった中で、京都大学の小林潔教授を委員長とする「関西のインフラ強化を進める会」が発足され、関西が成長するために必要なインフラ整備をテーマに、建設業界だけでなく、関西の経済界やマスコミもいっしょに議論する場が設けられた。建設コンサルタンツ協会近畿支部ではこの会の事務局を担うとともに、近畿支部が2016年9月に発表した『立ち上がれ関西新しい道路網整備2050』の紹介も行うなど、積極的に関わっている。新名神高速道路が国土開発幹線自動車道の予定路線となったのは1987年で、今から30年前のことである。未だに整備中である。大きなプロジェクトはその実現までとても長い時間がかかる。議論を継続していかなければ実現もしない。インフラの利用者である民間から声を上げて、行政がその民意を受けてプロジェクトを進めていくという形が進めば、これが国民にとって真に必要なインフラ整備と言えるのではないかと思う。その一役を建設コンサルタントが担っていきたい。「夢」を語れる建設コンサルタントになるには、企画・構想・計画の立案から維持管理までのプロジェクト全体の事業執行をマネジメントできる技術力が求められる。これまでに蓄積した技術力やノウハウを生かしながら、必要なインフラ整備の提案や広報まで領域を広げていく努力が望まれる。さらなる魅力ある建設コンサルタント業界をめざし、われわれは常に技術の研鑽に励む必要がある。