ブックタイトルConsultant277

ページ
49/60

このページは Consultant277 の電子ブックに掲載されている49ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant277

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant277

写真7トンガ人と日本人写真8マイクログリッドシステムの太陽光発電設備まで、日が沈むまでプレーを続けている。日本でプレーしている選手も多く、近年注目されているラグビー日本代表にもトンガ出身の選手が名を連ねている。先般、日本でたまたま電車に乗り合わせた学生がトンガからのラグビー留学生であった。彼が日本に来たきっかけは、既に日本に留学している先輩がトンガに里帰りした際に、付き添ってきた監督からのスカウトであったという。ラクビーを通じたトンガとのつながりは、今後も益々強くなりそうだ。人々と犬トンガの人々は逞しい肉体を持ちながら、その気質は極めておだやかである。現地調査を行っている際にも、協議を繰り返す慌ただしい日々にも関わらず、トンガの人々と話をしていると、夏休みに田舎に帰ったような錯覚で、穏やかな気分になることがしばしばであった。一方、犬はアグレッシブである。犬が町中で見られる国では大抵、犬は人を少し怖がる傾向にあるが、トンガの犬は走っている車にも平気で飛びかかってくる。同僚は、散歩していた時に犬に追いかけられたそうだ。しばらく走って逃げると追ってこなくなり、ホッとしていたら、今度は別の犬のテリトリーに入り、また犬に追いかけられたという。ゆったりしたトンガで、唯一張りつめた空気になるのが、犬と目があった時なのかもしれない。対処法は「石を拾って投げる振りをする」ことである。「ふり」だけでも心は痛むが、実際に試してみると効果てきめんであった。トンガ人気質トンガへの渡航は常に仕事での出張であり、そのため、私の知るトンガはほんの一部である。それでもトンガのゆったりとした雰囲気は、常々肌で感じられ、仕事で関わったからこそ見えたこともあったように思う。ODAのプロジェクトで援助を行うような場合、日本の優れた技術を少しでも伝えようと、日本人の持ち前の勤勉さで業務を行いがちである。しかしながら、太陽光発電設備のヤギしかり、トンガにはトンガのやり方があり、休日には教会に行き家族とともにゆっくり休むといった文化がある。一方的な「押しつけ」を行いかねない危うさには身が引きしまる思いがした。「トンガはゆったりした文化」などと書くと、勤勉さとは対極のイメージであるが、仕事に対しては非常に勤勉である。現地調査の際にも、我々の「勤勉」な調査に文句一つ言わずお付き合いいただいた。普段なれない働き方で我々に振り回されたにも関わらず、文化の違いを敬遠するどころか、むしろ「一生懸命やってくれてありがとう。すばらしいね」と言ってくれた時にはその懐の深さに感動した。また、来日され電車に乗っている時には、車窓から配電線を見ては目を輝かせ、その技術を取り入れようとしていた。その一生懸命さに刺激を受けるとともに、とても楽しそうな様子は見ていて気持ちのよいものであった。昨今、日本でもワークライフバランスが話題になっているが、ゆったりしていて勤勉、そして何より相手のやり方を受け入れて、おだやかに楽しく仕事をするトンガの方々を見習うべきところは多い。その性格は、ゆったりした文化から来るのか、毎日のラグビーから来るのか、はたまた根が優しいのかはわからないが、機会があれば一度、実際にトンガを訪れて感じていただければと思う。Civil Engineering Consultant VOL.277 October 2017047