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いるのは海外です。「何のチャリティーで走ったのか」という会話が中心で、スポーツに対する概念が全く違います。私は自分を喜ばせる力「自喜力」がメインで競技を行っていましたが、今は他人を喜ばせる力「他喜力」にシフトしています。現役時代は圧倒的に自喜力を通して周りが喜んでくれたと思います。その自喜力は勝つことでした。今は他喜力を自分の力に変えています。それは一生懸命人を応援することです。やはり人は本気を見て喜ぶものです。マラソンの応援は長い時は6時間くらいになります。応援は疲れますが、喜んでいる人が寄って来て力をくれるから続けられます。自分が応援してる人が元気になることは、私の存在意義があったということです。走っている時の応援は本当に助かります。体調が悪かったりすると、嫌な顔や嫌な声が聞こえてきます。でも調子が良いと、子どもの笑顔が見えたり、良い声が聞こえたりします。だから一生懸命頑張っていれば、一生懸命応援してくれる人が見えます。どうです、やりたくなったでしょう。以前、新人社員研修でフルマラソンを走らせる会社があり、私もその研修に同行させていただいたことがあります。死に物狂いで、8 ? 9時間かかってでも、とにかくゴールします。すると、その夜のパーティーでの皆さんの表情が違います。「何か大変だったけど、明日またちょっと走ってみようかな」とか、不思議な変化です。マラソンは自分としか向き合わないから、自己発見が山ほどできます。やらないよりは、やってみる価値があると思います。最初に「絶対無理」と言った人ほど、目覚めてしまう人が多いようです。そういうことを体験すると、ランナー同士だったり、応援する地域の人たちだったり、ボランティアの人たちだったりと、想像を絶するぐらいのつながりができます。マラソンは生きている実感をすごく味わえる競技です。東京マラソン(写真提供:公益財団法人東京観光財団)有森裕子ARIMORI Yukoプロフィール1966年岡山県生まれ。就実高校、日本体育大学を卒業して株式会社リクルート入社。バルセロナオリンピック、アトランタオリンピックの女子マラソンでは銀メダル、銅メダルを獲得。20 07年2月18日、日本初の大規模市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。1 9 9 8年、N P O法人「ハート・オブ・ゴールド」を設立し代表理事就任。2 0 0 2年4月、アスリートのマネジメント会社「ライツ」(現在の株式会社RIGHTS.)を設立。国際オリンピック委員会(IOC)スポーツと活動的社会委員会委員、スペシャルオリンピックス日本理事長、日本プロサッカーリーグ理事、日本陸上競技連盟理事他。これまで、国際陸連(IAAF)女性委員会委員、国連人口基金親善大使、笹川スポーツ財団評議員、社会貢献支援財団評議員等の要職歴任。2010年6月、国際オリンピック委員会(I O C)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞。同年12月、カンボジア王国ノロドム・シハモニ国王陛下より、ロイヤル・モニサラポン勲章大十字を受章。Civil Engineering Consultant VOL.277 October 2017005