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古代の祈りを未来の夢にヨーロッパのスポーツ愛好者が近隣の仲間に呼びかけて始めた近代オリンピック競技会が、かくも盛大な「人類の祭典」に成長したのには、それなりの理由がある。その生みの親ピェール・ド・クーベルタン男爵は、古代ギリシャのオリンピックをモデルとし、その理念を継承・近代化することによって近代オリンピックの新たなブランドを作り上げようとした。古代オリンピックは、オリンポスの山々に住まうギリシャの神々を慰め、その恩寵にあずかるために神々に捧げられる祭典競技会であった。うるう年に行われるこの競技会には、ギリシャ全土からの競技者が参加したが、彼らの安全を保障するために大会前後の数カ月間を「エケケイリア」と呼ぶ聖なる休戦の期間に定めていた。古代ギリシャでは、ポリス(都市国家)間の戦争が絶えなかったが、このエケケイリアは尊重され、オリンピックによる聖なる休戦は、戦乱の中での束の間の平和をもたらしたといわれる。クーベルタン男爵は、うるう年の開催とともにこの伝承を引き継ぎ、それを「平和の希求」として近代化し、近代オリンピックの存在理由の第一義とした。ここから「平和の祭典」としてのオリンピック・ブランドが構築された。つまり人類を一つにつなげる近代オリンピックの力は、エケケイ写真1古代遺跡ヘーラー神殿におけるロンドン五輪聖火の採火式写真2リオ五輪閉会式におけるバッハIOC会長から小池都知事に五輪旗の引き渡しリアに示された古代の知恵が、千年の時を超えて蘇り、天と地、神々と人々をつなぐスポーツ未来の夢につながることによって生まれているのであこうした時を超えるスポーツの力の源泉は、誠実で真る。オリンピック競技会が、ワールドカップ等の国際競摯な競技が生み出す感動が、人々のみならず、神々をも技を凌駕して、スポーツ界における至高の地位を確立す魅了することにあると思われる。だから古くから、スポーるのは、鍛え抜かれた競技者の熾烈な戦いを「平和とツ競技は神々を慰撫し、そのメッセージを伺う営みとさ友好・親善」に捧げるという崇高なその理念によるのでれてきたのである。古代ギリシャにおいては、フィリギアあり、そしてそれは古代ギリシャから継承したスポーツ人のぺロプスは、戦車競走でピサ王オエノマウスを打ちの力に他ならない。女神ヘーラーの神殿跡で11人の巫破り、その王女と王国を獲たとされる。ホメーロスの叙女によって採火された火をリレーし、大会のメイン会場事詩「イリアースとオデッセイ」には、神々が自らの愛好に灯し掲げる一連の聖火儀礼も、オリンピック旗の大会する競技者を勝たせるために、例えば天使を使わせて開催地への継承も、古代を今に甦らせて未来につなぐ、投槍を遠くまで運ばせるなど、競技に干渉する様子が描時を超える営みなのである。かれている。のみのすくねまた古墳時代の後期、出雲の国の野見宿禰がたいまのけはや当麻蹴速との相撲に勝利し、彼の所有地大和の国を手Civil Engineering Consultant VOL.277 October 2017007