ブックタイトルConsultant278
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Consultant278
感じるね。面白いのは戦後のカストリ雑誌。カストリっていうのはお酒なんだけど、エチルアルコールだとかを入れたもの。日本は敗戦国になって、もう酔わなきゃいられない時代だった。どんな酒豪でも3合飲むとつぶれちゃう。下手したら目までつぶれちゃう。だから創刊号から3号でつぶれちゃう雑誌をカストリ雑誌って。「りべらる」「猟奇」「OK」「共楽」「赤と黒」だとか、実際の生活とはかけ離れた雑誌が、もうどれだけ作られたか。でもそんな時代から人間はよく立ち直るよね。食べ物もない、こんな状態で。映画、歌が娯楽産業。『ゴジラ』は怖かったよ。原爆の傷が全然癒えてない頃だったからね。歌はほんとに勇気をくれた。『リンゴの唄』『東京キッド』は僕らより父や母だね。「右のポケットには夢がある。左のポケットにはチューインガム」って、ポケットに入るような夢でも生きる勇気がもらえた、そういう時代だった。終戦直後に作られた「おそるべき君等の乳房夏来る」さいとうさんきという詩人西東三鬼の歌がある。戦争が終わり、もんぺと頭巾だった女性が、黒いスカートと白いブラウスで笑いながら歩いて来ると、思わず揺れる胸に目が行って・・・。この歌には「ああ、戦争が終わったんだな。平和な時代が来るな」という希望が伺える。歴史の中で、ほんとに悲惨な時代があって、それを乗り越えなければいけないし、生きていかなければいけない。その時々で、人間って、最大限のことをやっていったんじゃないかなって、小菅のジープとか当時作ったものを見ると、それを感じるよね。その中でも、日本の復興を願って動いた人たちに絶対感謝をしなければいけないし、受け継いだ私たちが、さらに工夫して次の世代につないでいかなきゃいけないね。小菅のジープと横浜ブリキのおもちゃ博物館展示物(左)/カストリ雑誌の表紙(右)(写真提供:株式会社トーイズ)北原照久KITAHARA Teruhisaプロフィール1948年東京生まれ。ブリキのおもちゃコレクターの第一人者として世界的に知られている。大学時代にスキー留学したヨーロッパで、ものを大切にする人たちの文化に触れ、古い時計や生活骨董、ポスター等の収集を始める。その後、知り合いのデザイナーの家で、インテリアとして飾られていたブリキのおもちゃに出会い、興味を持ち収集を始める。地方の玩具店などに眠っていたブリキのおもちゃを精力的に収集し、マスコミにも知られるようになる。そして、イベントがきっかけで「多くの人にコレクションを見て楽しんでもらいたい」という思いで1986年4月、横浜山手に「ブリキのおもちゃ博物館」を開館。2003年11月より6年間、フロリダディズニーワールドにて「Tin Toy Stories Made in Japan」のイベントを開催。現在、テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」に鑑定士として出演している。また、ラジオ、CM、各地での講演会等でも活躍中。受賞や委員就任が多く著書も多数ある。株式会社トーイズ代表取締役。Civil Engineering Consultant VOL.278 January 2018009