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巻頭言Consultants魅力ある建設コンサルタントを目指して村田和夫一般社団法人建設コンサルタンツ協会会長読者の皆様、建設コンサルタンツ協会会員企業の皆様、新年あけましておめでとうございます。当協会では、より良い社会資本を整備するために、国・地方自治体・独立行政法人・国立研究開発法人・道路会社などとの意見交換会を毎年実施してきました。平成30年度で35回目となります。ここでは、魅力ある建設コンサルタントを目指す活動の紹介と建設コンサルタントが関わる上流工程の生産性向上について考えます。魅力ある建設コンサルタントを目指して(政策提案のできるコンサルタントに)従来、社会資本は政府の大きなビジョンにもとづいて整備されてきました。時々の社会変化に応じて検討を加えてきた全国総合開発計画(全総計画)が代表的なものだと思います。最新の全総計画は平成26年7月に発表された「国土のグランドデザイン2050」であり、同年6月には「国土強靱化基本計画」が閣議決定されました。さて、「建設コンサルタントビジョン2014」では、「21世紀の建設コンサルタント像」を「社会資本整備をリードする自律した建設コンサルタント」と定義しています。現在および将来の社会ニーズを把握し、持続的に発展する明るい社会とは何か、その実現のための手段(社会資本)とは何かを示し、リーダーとして他の団体と連携・協働し、求める社会を実現する政策提言を自律して行える技術者集団になることを目指しています。平成29年度の地方整備局との意見交換会では、「魅力ある建設コンサルタントに向けた担い手の育成・確保のための環境整備」として、納期の平準化などの就業環境の整備などのほかに、「より魅力ある職業としての確立」のなかで「政策立案・事業形成に関する建設コンサルタントの活用」を要望しています。地域の活性化等のために、何故その施設(社会資本)が必要なのか、どのように運営するのかなど、上流工程への関与をいっそう進めていくための提案です。また、ピュアCMや事業促進PPP、PFI、コンセッションや地域経営を行うための事業推進形態の改善・推進を行うことも提案しています。上流工程を担う自律した建設コンサルタントとして、活力ある国土の創造に向かって邁進していきましょう。建設生産・管理システムの効率化について(CIMとフロントローディング)生産性向上のためにICT(i-Construction)の推進が建設産業や建設コンサルタントに求められています。建設コンサルタントの代表的なICTの活用にCIMがあげられます。そこでは「フロントローディング」が提案されています。「フロントローディング」とは、上流工程の重要性を理解し、設計段階でモデルを構築し、必要な属性情報を取り込み、3次元可視化シミュレーションや検証を行うことです。設計段階で大きな負荷を掛けたときの工期増とコスト増は、工事に入ってからの変更等に比べ、容易かつ安価に対応できます。これによって、設計品質が向上し、事業全体の工程の短縮や手戻りなどによるコスト増が軽減できることから始まりました。実際、建築で使用しているBIMで、その効果が確認されています。ここでの課題は設計工程に多くの負荷が掛かることであり、この部分を担当する建設コンサルタント自身にとっては、従来に比較して負担が増大し、直接的なメリットが享受できないことにあります。下流工程の情報を独自で集約する作業が加わると、更にCIM活用の動機が弱まります。長時間労働の解消が必須な現状では、新技術導入の初期段階でもあり、生産性向上のために不可欠な「フロントローディング」を確立するためには、負荷の増大する上流工程への適正な履行期間の設定・確保と適正な費用が必要となります。日本が世界に遅れをとらないためにも、建設生産・管理システムの技術改革に向けて、産官学協働で智恵を絞っていきましょう。