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Consultant278
Z O O M U P C A M E R A E Y E Sズーム・アップ・カメラ・アイズ動物園のアトラクション「上野モノレール」(東京都台東区)会誌編集専門委員会パンダのシャンシャン(香香)が話題となっている東京都立上野動物園。実は園内にアトラクションがあることをご存知だろうか。2016年8月31日に閉園した表門前の小さな「こども遊園地」のことではない。区道を跨いで東園(本園)と西園(分園)間の300mを1分半で行き来する「上野モノレール」のことだ。1編成が行き来するだけのモノレールは、動物園に入らないと乗ることはできない。ほのぼのとしたこのアトラクションは、正式名称を「東京都懸垂電車上野懸垂線」と言う。平均時速12kmとゆっくりしたスピードで園内の観客の移動用路線だが、鉄道事業法(当時の地方鉄道法)に基づいて1957年12月17日に日本で最初に開業したモノレールであり、歴とした東京都交通局の実用交通機関なのである。1954年頃、東京都心部の道路に混雑はなく、路面電車(都電)はスムーズに運行していた。しかし高度経済成長期に移行し始めるこの時期、国鉄(現JR)や私鉄、地下鉄が客足を伸ばしていたにもかかわらず、路面電車の旅客数は減っていた。そのような状況のなか、東京都交通局では「将来の都心部の公共交通は、道路面とは分離した走行路を持つ交通機関への転換が必要」との考え方が主流となる。都心部では新たに高架鉄道を建設する余地はないため、地下鉄とモノレールの二つのシステムが検討されることになった。議論の中で、モノレールは地下鉄までは必要としない需要の小さい路線、つまり二次的な交通機関に位置付けられた。そして1/2サイズの車両の実験的なモノレールを造ることになり、その候補地に選ばれたのが東京都立上野動物園だったのである。1955年当時、モノレールは唯一ドイツのブッパータールにある懸垂式だけが実用化されていた。しかし古いシステムであったため、これを参考に上野式モノレールを自主開発することとし、最高時速100km程度、最小曲線半径50m程度、100‰程度の勾配を登ることが可能など、厳しい条件の下、開発が進められた。上野モノレールは建設されたものの、残念ながらフルサイズの実用化までには至らなかった。東京都交通局と日本車輌製造株式会社で共同開発した上野式モノレールは、懸垂式であるため台車と車体を結ぶ腕が軌道桁に接触しないように大きく湾曲している。単線の軌道桁の延長は331.4mとなり、22径間単図1路線図写真1開業時の上野モノレール050Civil Engineering Consultant VOL.278 January 2018