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日本プロジェクト産業協議会国土・未来プロジェクト研究会提言未来を拓くリーディング・プロジェクト1?国土・未来プロジェクトの背景や目的?藤本貴也FUJIMOTO Takaya一般社団法人日本プロジェクト産業協議会/国土・未来プロジェクト研究会委員長公益財団法人日本道路交通情報センター副理事長■はじめに一般社団法人日本プロジェクト産業協議会(宗岡正二会長、略称JAPIC)は、具体的なプロジェクトの実現を図るべく、1979年に設立、現在は鉄鋼、建設、不動産、金融、電機、土木・建築コンサルタント事務所、各種団体、地方自治体、大学など37業種、約210社が参加するプロジェクト推進団体であり、産学官交流のプラットフォームを形成しています。2015年8月、JAPIC副会長である中村英夫先生(東京都市大学名誉総長)の発意で、各地方の具体的な骨太のプロジェクトを提言するべく「国土・未来プロジェクト研究会」が発足、検討をはじめました。先般2月13日提言内容を発表、経団連や日本商工会議所、各地域経済連合会等の後援を頂き3月9日経団連会館でキックオフ・シンポジウムを開催、500名近い方々に参加して頂きました。その後、各地において講演会・シンポジウム等を行い、提言内容についての広報と地元からの新しいプロジェクト提言の気運醸成のための活動を行っています。■今、何故新たなプロジェクトを提案するのかこれまでわが国では戦後約70年以上をかけ、様々なインフラ整備を進めてきました。例えば、道路においては、戦後の劣悪な道路事情の状況からはじまり、今では全国に10,000km以上の高速道路が整備されています。道路を含め、最近でも、様々なインフラが完成し、ストック効果が現れていますが、現在事業中のものも含め、そのほとんどが30年以上前に計画されたものです。バブル崩壊後の財政危機宣言以降は公共事業の予算は抑制されるとともに、国土形成計画や五ヵ年計画も投資額を具体的に示さなくなり、新しいプロジェクトを主導する役割も弱まってきました。さらに、公共事業抑制の風潮も影響して、最近では国や地方から、具体的な新しいプロジェクトの提言はあまり見られなくなり、マスコミに取り上げられる機会も少なくなっています。地方活性化のためには、まずは地方が主体的に創意工夫を結集して取り組むことが必要であり、国土の生産性を上げるうえからも中央や地方の様々な方から有意義な具体的なプロジェクトの提案が活発に行われるためのトリガー(引き金)となるべく、当研究会においては、理念に留まるのではなく、出来るだけ具体的なプロジェクトを提案することとしました。■今でも新たなインフラ整備を続ける■欧米諸国に敗けない取り組みを直近の20年でインフラ整備は大幅に落ち込んだこともあり、現在のわが国のインフラの整備水準は、安全かつ効率的に国土を使い、経済・社会の活力を保持する上では、充分とはいえません。また、東京オリンピック・パラリンピック以降も、国内の観光客は勿論、6,000万人の外国人旅行客を迎えるには、“住んでよし、訪れてよし”の快適性、利便性にもすぐれた国土の実現が必要ですが、その整備水準も低いと言わざるを得ません。一方、欧米の先進諸国では、各国のトップ・リーダーが、インフラ整備による、短期的な雇用・経済に対するフロー効果だけではなく、長期にわたって国民の生活や経済の発展に大きく貢献するストック効果について国民に訴え、今もなお、新たなインフラ整備に精力的に取り組んでいます。具体的には、公共事業の投資額を見ても、米・英・仏等の欧米諸国は、この20年間に1.5~3倍に増やすと共に、青函トンネル(53.9km×1本)を抜いて世界最長(57km×2本)となったスイスの鉄道トンネル「ゴッタルドベーストンネル」、主塔の高さが世界一056Civil Engineering Consultant VOL.278 January 2018