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Consultant278
Due DeligenceEngineer民間企業(商社等)金融機関Lender’s EngineerSPC(特別目的会社)Owner’s Engineer建設工事請負・設備調達EPC Engineer図2モンゴル貨物鉄道新線位置図図3海外民活案件での技術者の関わり発注者と交渉する必要があるのは海外業務の難しい点となる。業務開始後、日本人・モンゴル人のみならず豪・英・スリランカなど多様な国籍からなる総勢約80名のチームが組成された。業務の公用語は英語であるが、モンゴルという国柄から日本語を話せる現地スタッフが多く、また発注者側にも日本への留学経験者が複数人いたため、日本語での会議も多く開催され、言葉の壁が低い案件事例であった。2件目の事例は、某国民間資金で開発される水力発電所事業(設備容量410MW、ダム高75m)である。一般に海外の民活案件では、複数の民間企業がある事業を達成するために特別目的会社(SPC)を設立し、運営することが多い。SPCはOwner’s Engineerと呼ばれるコンサルタントを雇用するほか、SPCにプロジェクト資金を融資する銀行団がLender’s Engineerと呼ばれるコンサルタントを雇用することもある。当該業務では、SPCが韓国の工事請負業者(ゼネコン)に発注し、ゼネコンがコンサルタントに技術支援を求めてきたものである。業務内容は、工事請負業者が作成した実施設計に対する技術アドバイザリー、ダム・堰に関するバリュー・エンジニアリング、およびダム施工中の技術アドバイザリーである。韓国のゼネコン側の技術者が過去に一緒に業務を行った日本工営株式会社のエンジニアを頼って依頼してきており、コンサルとしての高い技術力を信頼し、契約金額(報酬単価)や条件については提示通りほとんど受け入れて頂いた。保有資格や年齢などの制約もなく、受託企業にとっては自由度の高い業務であった。3.国際市場取り組みへのヒントNon ODAの業務は冒頭のように魅力ある大きな市場で、国際事業を拡大していく上で重要なポイントとなります。事例のように海外業務の難しさがある一面、業務実績を積み重ねることによる思いがけないチャンスに恵まれることもあります。これから国際市場に取り組む企業にとっていきなり単独で市場開拓を行い、参入するのは難しいことですが、海外業務の実績のある会社とJVを組んだり、社員を派遣させたりして、国内業務とは異なる作業の進め方・手法にも慣れたりすることから始めるのも一つの方法です。Non ODAは裾野が広い業態が色々あると考えられるので自社が取り組みやすい分野を絞り込んで行けば活躍する場は生まれるでしょう。近年は海外進出を狙う我が国中小企業も多く、国交省、JETROや自治体の国際課などに情報が集積されているので、そこに注視すると自社と協業できるニッチな分野が見つかるかもしれません。先ずは自社においては国際市場を意識したマインドセット(意識改革)を持つことが重要です。英語の会社ホームページやパンフレットを整備したり、社員に語学研修を薦めたり、日本への留学生を採用したり等、容易なことからひとつひとつ始めてみてはどうでしょうか。Civil Engineering Consultant VOL.278 January 2018063