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写真2デジタル地形図作成機材とその作業風景地形図作成の対象地域は、ブータンの農業およびダム開発の主要地域であったことと、インド市場をターゲットとした立地的優位性の2点から南部地域が選ばれました。■デジタル地形図の作成本プロジェクトでは、地上分解能(1ピクセルの大きさ)1.5mのSPOT衛星から撮影された画像と地上で計測した基準点等から、写真測量用ソフトウェアを使用して3D画像モデルを構築し、縮尺1/25,000として必要な地物(道路、建物、水部、植生等)及び等高線等の高さ情報を描画する方法でデジタル地形図を作成しました。衛星画像から取得できない地物の種別、地名、地物の属性等の情報は、既存資料の収集や現地調査によって補完しました。これらの全ての作業は、ブータン土地委員会(National Land Commission Secretariat)の協力のもとに実施されました。■ブータンの地図作りは大変!本プロジェクトの実施においては二つの苦労がありました。一つは等高線の作成で、もう一つは現地での作業です。対象地域であるブータン南部の高低差は約4,000mあります。1/25,000地形図では20m毎に等高線が必要となり、大量の等高線を描画することが求められました。また、ほとんどの地域が森林で覆われているため、地面の見えない箇所では、樹木の高さや地形を参考に、オペレーターの経験を頼りに等高線を描画していく非常に高度な技術も求められました。作業面積が地球の陸地面積の約1/15,000だったにもかかわらず、描画した等高線の総距離は、筆者計測によればおよそ地球8周分の長さになりました。現地調査では、調査対象が道路もない場所に孤立していることも多く、2日歩いてやっとたどり着ける場所もありました。宿泊施設やシャワーの確保も難しく、テントで寝たり、小学校の校長先生の自宅に泊めてもらったり、入浴は川の近くを通った日のみということもありました。作業というより修行に近いこのような環境で、ブータンの辛い料理と強い酒、厚い人情は作業者の心と体にとても沁みました。■地図がもたらす未来の幸福今後は、本プロジェクトで作成された1/25,000デジタル地形図が、必要に応じて拡張・更新されながらブータンで幅広く使われていくことを写真3テントでの宿泊の様子写真4とにかく歩く現地での作業036Civil Engineering Consultant VOL.279 April 2018