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期待しています。さらなるステップとして、デジタル地形図を含む地理的な情報サービスが、ブータンの一般ユーザーが頻繁に利用できる環境になり、幸福度の向上に貢献できるようになることです。例えば、登山でよく使われるハンディGPSの背景画像として1/25,000地形図は最適であり、多くの登山客が訪れるこの国でのニーズは高いと考えられます(写真6)。また、ブータンでは郵便物を受取るためには郵便局(ブータンポスト)に設置されている私書箱まで行かなくてはなりません。現在そのブータンポストは、ティンプー市の一部をパイロット地域として、デジタル地形図上の住所を使った配達システムの実験をしています(写真7)。民間のピザ宅配サービスでは、現在のところ注文する人が配達先について「○○の道から○○建物の角を曲がって道路左手の○○軒目の建物の○○階」のように口頭で説明する必要があり、数時間後に冷たいピザが届くケースもあるようです。写真5寒さと疲労を癒すひと時これもデジタル地形図や地理情報ツールの普及により、問題が解決されるかもしれません。また、伝統や環境を重視した歴史的建造物が多いブータンでは、ドローン等を活用した3D画像作成による伝統的建築技術や景観の保全方法も考えられます。■おわりに本プロジェクトで作成した1/25,000デジタル地形図は、作成の過程でブータンの技術者のアイデアが多く反映され、関係機関や対象地域の住民の方々のサポートによって出来上がった、ブータンと日本のそれぞれの特色が生かされた成果と言えます。プロジェクトを通して、国民総幸福量の考え方やその取り組みについて、日本がブータンから学べることは多いと強く感じました。私も火曜日のドライデーを時々実施するようになりました。多くの分野で互いの色を重ねあって、足りないものを双方で補い合う関係が今後も続くことを願っています。写真6登山における1/25,000デジタル地形図利用イメージ写真7ティンプー市役所内のパイロット配達システムのポストCivil Engineering Consultant VOL.279 April 2018037