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(t/年)10,0009,0008,0007,000下水処理場・し尿処理場の汚泥量の予測下水し尿下水(人口)し尿(人口)(人)200,000180,000160,000140,0006,0005,0004,0003,0002,0001,0000H28H29H30H31H32H33H34H35H36H37H38H39H40H41H42H43H44H45H46H47H48H49H50H51120,000100,00080,00060,00040,00020,0000図4年次別発生汚泥量の予測が、事業成否の分岐点になると考えます。■本事業のポイント本事業のポイントは以下のようになります。・民間事業者の選定にあたっては、事業規模が小さく競争原理が働きにくい条件であったため、可能な限り事業スキームを拡大することで、本事業に関連する企業種及び企業数を増やし、設計や建設、維持管理や運営業務全体として総事業費(予定価格)を大きくしました。・資源化物の利活用先の長期間の確保を事業参加資格の必須条件とするとともに、複数の利活用先の確保を落札者選定における大きな加点ポイントとしました。・コスト評価重視からの脱却として、従前の落札者選定方法を総合評価落札方式へと変更し、技術評価点と価格評価点の割合を7:3として技術に重きを置きました。・コスト縮減は、地元企業との連携を必要とする事業スキームとすることにより、地元を巻き込んだ競争原理が大きく働き、コスト縮減が図れたと考えられます。・上記に加え、他県にも増して看過できないA県の少子高齢化の進行という事象に対し、技術提案を求めました。テーマは「技術の伝承」「地産地消の推進」「これからの未来を担う若い世代への配慮」とし、技術評価点を大きく設定することで、本事業における発注者の意図を明確にしました。・本事業のリスクマネジメントと見える化の一例として、年次別発生汚泥量を図4に示します。各処理施設から発生する汚泥量を年度ごとに厳密に予測することは重要な検討事項でしたが、図に示す汚泥量変動範囲を民間事業者が対応する範囲、これ以外を発注者のリスクとすることで、リスク分担を明確にした公正なルールを構築しました。■おわりに少子高齢化や逼迫する財政事情をはじめとして今後の課題は、問題が多岐にわたり、重層化することで解決の糸口を見いだしにくくなると考えます。本質的な解決策は、様々な要素が重なり合った遷移領域の中でバランス感覚のよい結論が好まれ、そしてそれが正解として定着していきます。この傾向は、今後更に加速していくのではないでしょうか。A県の行政の枠組を超えた取り組みは、少子高齢化の進行が著しい中にあって、本質的に何が必要か、そして「未来の子供達に環境問題を先送りしない」ために今何を行っておくべきか、ということを本気で、真摯に取り組んだ結果であると感じます。Civil Engineering Consultant VOL.279 April 2018041