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日本プロジェクト産業協議会国土・未来プロジェクト研究会提言未来を拓くリーディング・プロジェクト2?欧州先進インフラストラクチャー事情?藤本貴也FUJIMOTO Takaya一般社団法人日本プロジェクト産業協議会/国土・未来プロジェクト研究会委員長公益財団法人日本道路交通情報センター副理事長■はじめに欧米の先進諸国では、各国のトップ・リーダーがインフラ整備による短期的な雇用・経済に対するフロー効果だけではなく、長期にわたって国民の生活や経済の発展に大きく貢献するストック効果について国民に訴え、今もなお新たなインフラ整備に精力的に取り組んでいます。具体的には、アメリカ・イギリス・フランス等の欧米諸国は、公共事業の投資額をこの20年間で1.5~3倍に増やしています。これにより既存の社会資本ストックの維持・更新に取り組むとともに、未来における経済・社会の発展の基盤となる新しい大規模プロジェクトにも精力的に取り組んでいます。そこで当研究会では、2017年10月1~8日にフランス・スイス・ドイツの先端的なインフラを視察し、欧州では財源も含め、どのような形で将来に向けたインフラ施設を整備しているのか調査を行いました。今回、視察した主なインフラ施設と、他団体が別時期に視察した施設のうち、提言に参考になると考えレクチャーを受けたものは計12施設になります(表1)。表1欧州先進インフラ施設z一覧当研究会が視察したインフラ施設施設名等国名1トゥールーズ駐車場仏2トゥールーズガロンヌ川流域再開発仏3ミヨー高架橋仏4リヨン・コンフリュアンス地区開発仏5ジュネーブ・プラージュ駐車場スイス6ゴッタルドベーストンネルスイス7インターシティ仏・独他8チューリッヒインフラ(公共交通)事情スイス9シュツットガルト21計画独10カールスルーエ・LRT(トラムトレイン)独他団体が視察したインフラ施設施設名等国名1ライプツィヒ新湖水地方(褐炭露天掘りの跡地を人工湖へ)独2ロンドンクロスレール英写真1ゴッダルドベーストンネルここではそのうち、ゴッタルドベーストンネル(スイス)とシュツットガルト21計画(独)の二つについて触れたいと思います。■スイス・ゴッダルドベーストンネル概要ゴッタルドベーストンネルは、スイスのアルプス山脈・ゴッタルド峠付近において、アルプトランジット計画に基づいて建設された鉄道トンネルです。延長57km、2本の単線トンネルで構成され、縦坑や関連する連絡路を含めた総延長は152kmに及びます。2016年6月1日に開通し、青函トンネルの53.8kmを抜いて世界最長の鉄道トンネルとなりました。トンネル構造・整備による効果ウーリ州エルストフェルト駅付近とティチーノ州ボディオ駅付近とを結び、レッチュベルクベーストンネルと共にアルプトランジット計画の一環として建設されています。新トンネル開通によって旅客列車は250km/hで走行が可能となり、チューリッヒ-ミラノ間の所要時間(現3.5時間)は50分短縮されます。さらに関連するツィンメルベルクベーストンネルとチェネリベーストンネルが完成すれば、合わせて1時間短縮されます。並行する2つの単線トンネルは325m毎に連絡路で結ばれ、トンネル延長のほぼ1/3と表2ゴッダルドベーストンネル諸元起点・終点ウーリ州エルストフェルト駅?ティチーノ州ボディオ駅建設期間1999?2016年(同年6月1日開通)管理者アルプトランジット・ゴッタルド社(スイス国鉄関連会社)用途鉄道トンネルトンネル長5 7.10 4 k m(東トンネル)、5 7. 0 17 k m(西トンネル)トンネル総延長151.84km最高点・最低点549m・312m最大土被り2,300m掘削工法TBM工法75%、発破工法25%掘削岩量2,800万t最高速度旅客列車250km/h、貨物列車160km/h総工費約1兆4800億円050Civil Engineering Consultant VOL.279 April 2018