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Consultant282
The stylish construction of the Suishobashi Bridge arches is a beautiful sightおしゃれなアーチの組み合わせが美しい「水晶橋」大阪府大阪市特集土木施設の転用Special Features / Conversion of civil engineering facilities日本交通技術株式会社/環境調査計画部/交通計画課髙橋真弓(会誌編集専門委員)TAKAHASHI Mayumi水晶橋■多くの画家に描かれている橋大阪市を流れる堂島川に架かる橋の一つである水晶橋。橋長72.33m、幅員9.09m、10数段の階段が両端についている歩行者専用の橋であるが、本体アーチとその上の9つの小アーチの組み合わせが美しいと評判で、多くの画家に描かれている。そんな水晶橋であるが、実は橋としてではなく、水質改善が目的の堂島川可動堰として建設されたのである。おしゃれなアーチの組み合わせからは、元可動堰だったとは少しも思えない形である。橋面の改装が行われた際に、さらに多くの人に利用してもらうことを願って、法律上も橋と認定する手続きがとられたため、現在は名実ともに橋となった。なぜ、可動堰としての役目を終えることとなったのだろうか。■枝川の導水計画大阪市内の枝川は河床勾配が小さく感潮区域であるため、一旦海へ流下した浮遊物、汚水、泥水が満ち潮で逆流し、沈殿、滞留していた。堂島川や土佐堀川などの大川(旧淀川)筋には、平常時は維持用水と呼ばれる渇水時においても維持するべき流量を上流から放流していたが、退潮時以外の平常時の流速は微々たるもじんかいやのであった。そのため汚濁した河水は停滞し、塵芥泥土が沈積して、都市の衛生上悪影響を及ばしていた。それらは舟航に支障をきたし、放置できなくなったたしゅんせつめ、浚渫や護岸工事を中心とする枝川改良工事と相まって、枝川導水工事が計画された。河川の水質改善の根本策は、家庭排水や工場排水を断つこと。すなわち流域の下水道施設の改良と完備を求められるが、急速な発展に伴う人口増加や工業の発達による各種の工場排水などが増加し、これらに対応する下水道施設の完備は経済上実現困難であった。そのため採られた方法は、枝川に可能な限り清浄水を流入し、河川を浄化することであった。026Civil Engineering Consultant VOL.282 January 2019