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Consultant284

010 Civil Engineering Consultant VOL.284 July 2019祈りを込めた食私達日本人は、周囲を海に囲まれた日本列島で、農耕、漁労、狩猟を営みながら生活してきました。そして農や漁の暦にあわせて一年を過ごし、節目節目に祭りを行ってきました。米、野菜、魚、肉、海藻、木の実、きのこ─、私達が普段口にする食べ物はそのほとんどが自然からの恵みです。だからこそ、収穫の季節には神様に感謝を捧げ、自然の恵みを供え、翌年もまた同じように恵みを得られるようにと祈ってきました。近年、大規模な自然災害が続いています。2011年の東日本大震災以降、熊本、大阪、北海道と立て続けに起こった大地震、西日本豪雨……。こういった自然災害が発生するたびに、自然とは恵みを与えてくれるものでありながら、時に我々の命をも奪ってしまう恐ろしい存在なのだということを再認識させられます。そんな自然と日本人はどう向き合ってきたのでしょうか? 各地の祭りの中で受け継がれる「祈りを込めた食」から辿っていきます。神饌と直会 ?食に宿る特別な力?私たちの生活に欠かせない「食」にはさまざまな願いが込められています。また、日本各地には地域独特の祈りや願いを込めた食べ物がたくさん残され、受け継がれています。私はそれを「まじない食」と名づけ、取材を続けてきました。食べると厄除になる、病除になる、大漁になるなどの御利益があるとされる食べ物は、地域ごとに様々な形があります。そのルーツは一体どこにあるのでしょうか?祭りに参加すると、神前にお神酒や食物が供えられている様子を見ることがあります。神様へお供えする食物や供物のことを総称して「神しん饌せん」と呼びますが、祭りには必ず、神饌を供える「献饌」と、撤下した神饌を参2 食と祭り?祈りを食べる?吉野 りり花YOSHINO Ririka特 集祭り ?非日常と祈りの文化?日本の旅ライター旅エッセイスト日本では祭りや年中行事において、祈りをこめた食べものを神様にお供えし、いただく習慣がある。それは日常生活の中にも溶け込んでいる。各地で食べられているユニークな「まじない食」にこめられた祈りの意味、地域ごとの古くから伝わる風習や文化について学ぶ。写真1 ゲバサ藻をはぐくむ宗像の海写真2 古式祭の特殊神饌「御菓子」