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Civil Engineering Consultant VOL.284 July 2019 013神事の後、勢せい至し 公園でタラ汁のふるまいがあります。地元のおかあさんたちがこしらえたタラ汁は、ぶつ切りにしたタラの身とアラを味噌で煮て、ネギをちらしたもの。昔は各家庭で作っていた料理で、秋田では「ざっぱ汁」と呼ばれます。まだ寒さ厳しい季節に、祭りを終えた喜びをかみしめながら味わうあたたかいタラ汁は格別です。待乳山聖天の「大根まつり」 ?心身の健康を祈る?人の願いの最たるものといえば「病気にかからず長生きしたい」というものではないでしょうか。そのため「まじない食」には病除を願うものが多く、神社に限らず寺の供物にちなんだものも多数あります。そのひとつが東京浅草の待まつちやましょうでん乳山聖天で行われる「大根まつり」です。待乳山聖天では清浄で体の毒素を中和する大根がお供えに用いられ、「大根まつり」ではお供えした大根を煮込んだ「ふろふき大根」が参拝者にふるまわれます。この「ふろふき大根」を食べると、心と体が一年健康でいられるといわれます。「大根まつり」は新春の風物詩となっており、柚子風味の味噌だれがおいしい「ふろふき大根」を求めて、たくさんの参詣者が行列を作ります。祈り、捧げ、いただく ?古から続く食の基本?「食」は私たちの毎日に欠かせないものですが、その源は自然からの恵みです。私たちが命をつなぐためには自然がなくてはなりません。だからこそ日本人は自然に感謝し、その恵みを神に捧げ、さまざまな願いを託して祈ってきたのでしょう。各地に残る「まじない食」からは、厳しい自然と向き合いながら生きた人々の姿が浮かび上がってくるようです。写真8 漁師が二人一組でタラを運ぶ写真9 「掛魚まつり」で神前に供えられるタラ写真10 タラで作る「ざっぱ汁」写真11 待乳山聖天の大根のお供え写真12 待乳山聖天「大根まつり」のふろふき大根