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Consultant284

014 Civil Engineering Consultant VOL.284 July 2019村の鎮守の神様の今日はめでたい御おまつりび祭日どんどんひゃらら・どんひゃららどんどんひゃらら・どんひゃらら朝から聞こえる笛太鼓『村祭』文部省唱歌<明治45(1912)年>祭祀列島にっぽん。我が国では、宮中祭祀や官制社寺の祭や法要、そして、各地の農山漁村をはじめ、都や城下町、門前町や宿場町など全国津々浦々で、豊作祈願の春祭、疫病退散の夏祭、祖霊祭の盆踊、収穫感謝の秋祭など、一年を通して様々な祭が営まれてきた。近代以降、特に高度経済成長期に日本の風景は一変した。しかしながら、祭には往時を偲ぶ姿があって、こと、音に関して言えば、視覚的風景ほどには破壊されていない、いにしえの音風景が残っている。美しい笛の遠音、身体に響く太鼓の音、心躍る祭囃子。私は京都を拠点に、竹の横笛「篠しの笛ぶえ」の演奏・指導・製作・販売・調査研究を行っている。篠笛の出自は祭である。篠笛を語るためには祭を知っておかねばならない。祭のフィールドに出かけること、文献を読むことが、私の中では篠笛奏者としての義務となっている。西洋化した日本の音風景本稿の主題は祭の音であるが、故あって、まずは現代日本の音楽環境について述べてみたい。今、日常生活で日本音楽を聞く機会は皆無である。耳にする音楽は、すべて洋楽の理論に基づく旋律で、保育園のお遊3 風くにぶりのうたまい俗歌舞 -祭が育む日本の音-森田 玲MORITA Akira特 集祭り ?非日常と祈りの文化?玲月流初代 篠笛奏者株式会社篠笛文化研究社/代表取締役神輿を舁かく掛け声、笛や和太鼓の祭囃子は、いかにも日本の祭という感じがする。私たちが普段耳にする音楽は概ね西洋式のものであるが、祭の中で奏でられる音曲は、日本の音である。古くから祈りをこめて今なお奏でられている祭音楽の魅力と意義を紹介する。図1  祇園祭。皇都祇園祭礼四條河原之涼『三都涼之図』<部分>(国立国会図書館)図2  伊勢大神楽。獅子髪洗ひ乃図(筆者蔵)