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Civil Engineering Consultant VOL.284 July 2019 019ます。童女はかつて地祭物もの忌いみと呼ばれていました。物忌とは清浄な奉仕者をあらわす言葉です。奥の案に忌物(鉄人像、鉄鏡、鉄鉾、鉄刀子等)を載せ、手前の案に神しん饌せんと鶏卵を供えます。そして、案に向かって左側に竹籠に入った白鶏雌雄二羽を供えます。祝のり詞と 奏上の後、拝礼が行われ、撤てっ饌せんをします。その後、鎮地の儀が行われます。鎮地の儀は、童女が行い、神職が介助します。先ず忌いみ鎌かまを以て草くさ刈かり初ぞめの儀、次に忌いみ鍬くわを以て穿うがち初ぞめの儀が行われます。最後に神職が中央に忌物を埋納し、退下します。その後、供えられた白鶏は境内に放たれることになります。五色幣を中央・東西南北の角に刺立てるのは、明らかに中国の陰陽五行説の影響です。式年遷宮が開始された当時は、唐から様々なことを学び律令国家を樹立して行く時代でしたので、影響は大きかったと思います。しかし、童女が奉仕するところなどに古風を伝えています。現代の地鎮祭の概要祭場建物が立つ敷地、土木工事が行われる場所の清らかな適地を選び、祭場を準備します。祭場は南面し、四隅に斎いみ竹たけを立て、注し連め縄なわを張ります。祭場の広さは、大規模なビル建設と個人住宅では、奉仕する神職の数も異なりますので、適宜に対応します。斎竹の中が一般的に祭場となります。祭場の北側の中央に神ひも籬ろぎ台だいを設けます。神籬は、神を迎えるための施設で、中央に榊さかきを立て紙し垂でと麻あさ苧お を付けます。神籬の前に神饌案、玉串案を舗設します。神饌案には三方を並べて神饌を盛ります。神籬に向かって左側の適宜の処に祓はらえ案あんを設け、祓はらえ具ぐ を置きます。散さん供ぐ 用の三方も準備しておきます。向かって右側の適宜の処に忌鎌、忌鍬、鎮物を置きます(図1)。祭神特定の祭神名はなく、「此の地ところを宇うしはきま志波伎真坐す神等」(祝詞文)と申し上げることが一般的です。「うしはきます神たち」とは、土地を領有する神たちの意で、特定の神名を言いません。その土地をうしはく神たちの外に、その地域の氏神神社や大地神である大おおとこぬしのかみ地主神を合わせて祭る場合もあります。鎮物土地の神への奉献品で、伊勢神宮の忌物(鉄人像、鉄鏡、鉄鉾、鉄刀子等)と同じように準備します。神具店から購入するわけですが、一般に神職が準備してくれます。ただ、こうした物を準備できない場合もありますが、そのような場合に古来行われてきた方法がいくつかあります。ア  氏神神社等の清き砂を二枚の土器の中に入れ麻苧で十文字に結んで埋納する方法イ  五色の幣束(青・黄・赤・白・黒)の一束を麻苧で括って納める方法ウ  神籬の芯を、祭典終了後にとって納める方法式次第① 手て 水みず先ず手水をして、祭場の決められた席に着く(祭場平面図)。手水は手を洗い、口を漱いで、心身を清める儀式です。② 修しゅ祓ばつ御祓の儀式で、神職が祓はらえ詞ことばを奏上し、続いて大おお麻あさにて左右左と祓う。次いで塩湯で祓う場合もある。祓詞は、禊みそぎ祓詞とも言い伊い邪ざ那な岐ぎの大おお神かみが日向国の阿あ波わ岐ぎ原はらで禊祓をした時、祓はらえどのおおかみ戸大神が生まれ、その神徳により罪つみ穢けがれを祓い清めていただくよう祈る詞です。大麻は、榊の枝に紙垂と麻苧を付けた祓具です。塩湯は、器に塩と湯を入れてふり注ぐことにより祓うものです。祓清めることを徹底します。祓う順は、祭場、神饌、玉串、斎主、祭員、建主、工事関係者、その他参列者等です。写真1 伊勢神宮の鎮地祭