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Civil Engineering Consultant VOL.284 July 2019 021地に左右左と散供します。散供とは大地の神に直接お供えする意味があります。⑦ 草刈初の儀忌鎌を以て、神前にて草刈初を行います。建主が行うことが多いです。その土地を使用させていただくに当り、先ず草を刈ることから始まるからです。⑧ 穿初の儀忌鍬を以て、神前にて穿初を行います。工事関係者が行うことが多いです。工事を始めるに当たり、最初に鍬を入れる儀式です。⑨ 鎮物埋納神職があらかじめ神前に準備した穴に、祈念をこめて埋納します。地鎮祭の時は、仮に埋納する所作のみで、工事に当り敷地の中央に埋納します。⑩ 玉串拝礼斎主、祭員が玉串拝礼します。次に建主、工事関係者、参列員等の順に玉串拝礼します。⑪ 撤饌の儀神職が神饌をお下げします。最後に供えたものから順にお下げします。瓶子の蓋をすることで撤饌に代える場合もあります。⑫ 昇神の儀斎主が昇神詞を唱えて、神籬に迎えた神を送ります。この時、警蹕を行い、一同は低頭します。⑬ 直なお会らい席を変えて、直会を行います。神前に供えた神酒を一同で頂き、神威を受けて工事の安全や建主の長久発展を祝います。自然に宿る神私たち日本人は、自然のあらゆる物に神が宿ると信じています。地鎮祭が必ず行われる背景に、こうした信仰が生きています。伊勢神宮では、社殿の用材を伐採する時には、先ず山口祭を行い、山の神に許しを得てから、山に入り伐採します。用材の伐採に当たっては、木この本もと祭さいを行い、木本神を祭って伐採します。井戸を掘ったり、埋めたりする時には、必ず井戸神を祭ります。屋敷の樹木を伐採する時も、お祓いをする人が多いです。建物、道路、橋梁、トンネル等の工事に際しても、その土地の神を祭る地鎮祭を行います。私たち日本人は、自然のあらゆるものに神が宿っていて、自然物を採取したり、利用する時には必ず神々の許しを得なければならない、と思っています。そうしないと神々の祟たたりに遭い、予期しない事故が発生したり、関係者に重大な危機を生じさせたりします。「祟る」とは、言葉の本来の意味は、現れて神威を示すことで、後に神仏が罰をあたえる意となったのです。自然を畏れ慎む心が先ず初めにあったのです。森羅万象すべてに神々が宿り生命があると考えてきた信仰が存在したのです。<図・写真提供>図1 著者の作図を基に株式会社大應が作成写真1 神宮司庁写真2、3 日本工営株式会社写真4 基礎地盤コンサルタンツ株式会社写真5 山上英之写真4 穿初の儀写真5 個人の住宅での地鎮祭の例