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026 Civil Engineering Consultant VOL.284 July 2019被災地の夏祭り2011年3月11日、驚愕の東日本大震災の後、関東各地では相次いで祭りの自粛や中止が発表された。自粛・中止となった主な祭りは、5月が日光東照宮の『春季例大祭 百ひゃくものぞろい物揃千人武者行列』、東京の『神田祭』『三社祭』、7月が『隅田川花火大会』(後に8月末に延期開催)、8月が『東京湾大華火祭』などである。また、規模を縮小し神事だけを執り行った祭りは、日本各地で多数に及んだ。「今年1年間、祭りの写真は撮れないのだな」と私は思った。ところが4月12日、被災地の青森県八戸市の市長より『八戸三社大祭』(7月31日~8月5日)の開催が発表された。「夏祭りを復興の象徴とする」との声明だった。続いて、宮城県塩竃市から『塩竃みなと祭』(7月18日)、宮城県仙台市は東北の六大祭りが一堂に集まる『東北六魂祭』(7月16~17日)の急遽開催が決まった。また『仙台七夕まつり』は「鎮魂と復興への願い」を込めて、例年通り8月6~8日に開催するなど、続々と被災地から夏祭り開催声明が発表された。その一方で、自粛・中止になった日光東照宮付近の旅館や土産物屋からは、震災後に観光客が激減したうえに、例年3万人もの人出で賑う祭りが中止になり、悲鳴があがっていることがニュースで放映されていた。関東では祭りの自粛発表が行われ、東北被災地各地では夏祭りの開催声明が続く。ここに祭りの原点があるのではないかと思い、6月から8月初旬まで被災各地の祭りを取材した。私が関心をもったのは地震、津波、原発事故の三重苦に苦しむ福島県相馬市と南相馬市で行われる『相馬野馬追』と、町すべてが津波で流され消失してしまった岩手県陸前高田市で800年続く『うごく七夕』。平将門に由来をもつ『相馬野馬追』は千余年の歴史6 祭りのゆくえ芳賀 日向HAGA Hinata特 集祭り ?非日常と祈りの文化?祭り写真家自然災害、少子高齢化、人口減少などの社会変化とともに、日本の祭りは変わってきている。カタチを変えて存続する祭りもあれば、消えゆく祭りもある。祭りを継承させる意義とはなんだろうか。様々な問題を抱え、変わりゆく祭りの姿を追う。写真1 相馬野馬追で祈る女性(2011年) 写真2  見事に復活し大歓声を背にして走る『相馬野馬追』の騎馬武者(2013 年)