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Consultant284

巻頭言このたび、建設コンサルタンツ協会の第15 代会長に就任しました高野登です。平成から令和という新時代に移行する節目に、会長という大役を務めることは、本当に身の引き締まる思いです。微力ではありますが、協会ならびに建設コンサルタントの発展のために全力で務めますので、会員企業ならびに発注者の皆様、さらには関係各位の皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。平成を振り返って平成時代の30 年間の協会活動は、平成元年に出版された『建設コンサルタンツ中長期ビジョン -ATI 構想-』が原点と言えるでしょう。その基本理念は「建設コンサルタントが魅力に満ち(Attractive)、技術を競う(Technologicallyspirited)、独立した知的産業(Independent)として成長し、PI(Professional Identity)を確立すること」です。その具体策として、①技術競争市場の確保、②人材の確保・魅力ある職場づくり、③品質の確保、④倫理の徹底、⑤企業経営の安定(適切な報酬積算、越年契約制度)、⑥国際競争力の強化などが挙げられており、現在も色褪せていません。この30 年間で建設コンサルタントを取り巻く環境は大きく改善しました。第一に、技術者単価は7年連続で引き上げられ、事業量も安定的に確保されています。第二に、国土交通省の発注案件では、総合評価やプロポーザル方式などの技術力による選定が約9割を占めるまでになりました。第三に、労働基準法の改正に端を発して、工期の平準化やウィークリースタンスなどの長時間労働対策が急速に進展しています。新しい時代の協会活動このように平成の30 年間にATI 構想の実現に向けて前進してきましたが、様々な課題も残されており、今後その改善にむけて取り組んでいかなければなりません。第一は、担い手の確保・育成のための働き方改革と労働生産性の向上です。働き方改革では、年度末に集中する工期を国債や翌債を活用して履行期限の分散を図ること、適正な工期を確保すること、工期や仕様を必要に応じて適切に変更することなどの長時間労働対策を推進します。また、女性や若手技術者の活用と育成が図れる制度の導入を推進します。労働生産性の向上では、i-Constructionに代表されるICT 技術やBIM/CIMの普及・推進を通して、調査、計画、設計、施工、維持管理の建設生産・管理システム全体の生産性の向上を目指します。第二は、技術力による選定の地方への普及です。公共工事の品確法の改正を受けて、技術力による選定の普及が進まない地方自治体へ導入を働きかけます。第三は、品質の確保・向上です。会員企業のエラー防止の取り組みを支援・推進するとともに、適正な履行期間の確保、設計条件の明示、適切な設計変更を推進します。建設コンサルタントのさらなる発展に向けてインフラ事業のニーズの変化や品質・生産性の向上策として、官民連携事業やマネジメント事業等の多様な事業運営形態への建設コンサルタントの参画の機会が拡がっています。新事業領域に於ける建設コンサルタントの役割を構築し、それを担う人材の資格制度や育成する仕組みが必要です。この3カ年の公共事業として防災、減災、国土強靭化のための緊急対策は実施されますが、その後に実施すべき中長期的なインフラ整備への提言が望まれます。また、従来から課題とされてきた、予定価格の上限拘束、損害賠償の上限設定、非定型業務の報酬のあり方、建設コンサルタントの登録制度や資格制度のあり方等の検討も必要でしょう。建設コンサルタントのさらなる発展に向けて、このような課題にも取り組んで参ります。最後になりましたが、建設コンサルタントを魅力ある産業とするため、精一杯頑張って参ります。会員企業のご協力、ご支援はもちろん、発注者の皆様にもご指導、ご支援をお願いして会長就任のご挨拶といたします。高野 登一般社団法人建設コンサルタンツ協会 会長建設コンサルタントのさらなる発展に向けてC o n s u l t a n t s