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たその総延長は、2030 年までに360kmまで延ばすことを目指しているという。東京メトロと都営地下鉄を合わせた総延長が301.3kmであることを踏まえると、その異様さが理解できると思う。建設工事だけでなくホーカーセンター(屋台群)を取ってみても、5店あれば、そのうち1~2店は定着することなく、次々と変わっていく。筆者がいつも利用しているオフィス近所のホーカーセンターの一角も、当初は醸豆腐(シンガポール風おでん)であったが、カレーそしてベジタリアンフードへと変わってしまった。赴任当時、ほぼ毎日醸豆腐にお世話になっていたため、ヘルシーな醸豆腐がとても恋しい。ベジタリアンフードも味が日本人好みで捨てがたい(写真4)。(マンダリン)、マレー語、タミール語の4カ国語となっており、公共の場でのアナウンスや掲示は複数の言語が用いられている。勿論、工事現場も多言語表示である(写真2)。労働者以外にも、旅行者が世界各国から集まってくるおかげで、街ではフィリピン語、フランス語、ロシア語等を耳にする(勿論、筆者はどの言語にも精通していない)他、時折懐かしい日本語を聞くことも出来る。筆者が勤務するシンガポール支社でもシンガポール、マレーシア、インドネシア、インド、ミャンマーなど、約10カ国の文化の異なる国の出身者同士が同じオフィスで働いている(写真3)。多くの人種が共存しているためか、彼らは何に対しても寛容に感じる。まず、言語に関して寛容である。例えば英語が堪能でなくても、身振り手振りを交えながら会話に挑めば、相手が理解しようとしてくれる。筆者の英語がいつまでも上達しないのは、この寛容さの上に胡坐をかいているせいであることは、上司には決して知られてはいけない秘密である。次に、子どもに対して寛容である。例えばちょっと洒落たレストランで子どもが少し騒いだときも、日本では周りのお客さんからじろじろ見られてしまうが、シンガポールではその程度のことでは誰も気にしない。そして、時間に対して寛容である。ビジネスにおいても会議に遅刻してくることは頻繁にあるし、よほどでなければ怒る人はいない。「なぜこんなにも寛容なのだろう」と赴任当初は思ったものだが、冷静に考えてみれば、年中暑い国で毎日時間通りに根を詰めて働いていては熱中症になってしまうし、様々な人種が共存する中で言葉が不完全なことを逐一気にしていたらまとまる商談もまとまらない。こうした寛容さは風土に根ざし長い年月をかけて形成されたものだと悟った。目まぐるしい国シンガポールといえば、世界屈指のスピードで発展し続けている国である。長年在星している人にとっては落ち着いてきているのかもしれないが、今も街のいたるところで高層マンションの建設が続いていることは、シンガポールの経済成長を象徴していると思う。公共事業も恐るべきスピードで進んでおり、日本で流れているCMのとおり、特に地下鉄工事は盛んである。2017年時点で199.6kmであっ写真3 シンガポール支社の室内勤務スタッフ。他に100 名近い現場チームがいる写真4  ベジタリアンフード店で頼んだ黒胡椒鳥冬面。味は良かったが汗が噴き出るほど胡椒が効いているCivil Engineering Consultant VOL.284 July 2019 041