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Civil Engineering Consultant VOL.284 July 2019 007身を清めなければいけないのである。また、この頃になると潮干狩りに出かける。これも本来は海で身を清めることから始まっている。桜のお花見だって、かつて山に籠もった名残とも、桜が稲の魂を宿す花だからこそ愛でたのだともいわれる。さらには、5月5日の端午の節供。節供自体は大陸からもたらされた文化だが、例えば鯉のぼりを立てる風習は、神さまが降りてくる柱を立てるのが本来の意義だ。なぜ神さまを降ろすのかといえば、それこそが田の神を招くためなのである。このように神さまを招いておこなう田植えは、まさに祭りであった。いまでも例えば広島県に行くと、「花田植」と呼ばれるユネスコの無形文化遺産にもなっている行事がある。田んぼの中で太鼓を叩きながら、飾り立てられた牛たちとともに早さ乙おとめ女たちがそれは賑やかに田植えをおこなうのだ。早乙女というのは、田植えをする女性一般を指すが、なぜ女性が田植えをするのかといえば、田の神さまと結婚させることで、子どもである米がたくさん生まれるという結果を願うのだ。この後、収穫までさまざまな行事や祭りが続くことになるが、収穫が終わると田の神は山に帰って山の神になる。つまり、神さまは春祭で山から下りてきて、秋祭で山に帰っていくということになる。これが祖霊神の信仰の根幹だといえよう。ただし、それは祖霊信仰という教義写真1 ユネスコの無形文化遺産にもなった「壬生の花田植」(広島県北広島町)写真2  大阪でおこなわれる田植えの祭り「住吉の御田植」(大阪府大阪市)