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Civil Engineering Consultant VOL.285 October 2019 009ら多様な視点で発表され、企業が人材のモチベーションをアップさせるための施策を練る際の参考とされています。①マズローの欲求5 段階説モチベーション理論で代表的なのは、アメリカの心理学者マズローが提唱した「マズローの欲求5 段階説」です。その名の通り、人間の欲求を5 段階のピラミッドの形になぞらえ、「人間は自己実現のために絶えず成長する」という考え方の元、低次の欲求が満たされるに従って、どんどんそれ以上の欲求が生まれるとする理論です。具体的には、生きるための基本的な欲求である「生理的欲求」や、生活の安全の確保のための「安全欲求」、社会の中で自分の居場所を欲する「社会的欲求」までを満たしてしまうと、さらに高い、他者から認められる事を欲する「承認欲求」、そして自身の能力を最大化し、より完全な自我を実現したいという「自己実現欲求」が生まれるというものです。②ハーズバーグの二要因理論アメリカの臨床心理学者ハーズバーグが提唱した「ハーズバーグの動機付け理論」は、人が仕事に対して「満足」を感じる要因と「不満足」を感じる要因は、全く別のものであるという理論です。別名「ハーズバーグの動機付け・衛生理論」とも呼ばれています。これはハーズバーグが実施した実験に基づいた理論です。給与や労働条件、人間関係などの「当たり前」に満たされている「衛生要因」については、部下の欲求を満たしたとしても、それが直接モチベーションアップに繋がらないというものです。一方、仕事の内容や達成感、会社から認められる事については、「動機付け欲求」とし、人材を動かす上で最も大切な要素であるとしています。つまり、人材のモチベーションをアップさせるには、この「動機付け要因」の方にフォーカスする必要があるという事です。③期待理論現代モチベーション研究の理論である「期待理論」というものもあります。これは、人のモチベーションは「努力」「成果」「魅力(報酬に対する)」の3つの構成要素のかけ算から成るというものです。具体的に、「努力」はどの程度努力すれば成果に繋がるのかが明確である事。「成果」はどの程度の働きをする事で、本人が望む成果が得られるかというもの。つまり実現の可能性があるのか、という事。そして「魅力」は、本人にとってそこに向かって努力できるような魅力的な報酬であるかどうか、という事です。この3つの要素のうち、いずれが欠けてもモチベーションアップは望めないでしょう。モチベーションが低下する要因なぜモチベーションは下がるのでしょうか。それはまず、「社員が仕事に魅力を感じていない」事です。例えば、その社員が持っているスキルや知識、そして希望を全く無視した人材配置であったり、そもそもその仕事に生産性が無いなどのケースが挙げられます。そういった場合、人は仕事を「やらされている」と感じ、仕事に刺激や楽しみを感じられず、モチベーションは低下します。モチベーションと目標には密接な関係があります。しかし、いくら仕事をこなしても「仕事の目標が明確でない」のであれば、そのモチベーションは徐々に削がれていきます。また、「仕事の目標が適正でない」こともモチベーションを下げる要因になります。まずは、しっかりとした目標、そしてその目標に対するプロセスの確立が必要です。図2 かけ算から成る3 つの構成要素(期待理論)「満足を招いた原因」「不満足を招く原因」達成会社の方針と管理承認監督仕事そのもの管理者との関係責任労働条件昇進給与成長同僚との関係個人生活表1  ハーズバーグの動機づけ・衛生理論「満足を招く原因と不満足を招く原因」