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Consultant285
Civil Engineering Consultant VOL.285 October 2019 017った。そこで、複数の現場で情報を共有して助け合い、包括的に監督することで夜間の人数を最小限にするとともに、責任施工制度を確立し、組織の垣根を越えて支えあう仕組みを作ったことで改善が導かれた。この経験から、働き方の改善やチームで働く重要性を改めて考えるようになった。両親の介護や子供の送り迎えができない人や、夜勤で体調を崩す人、メンタルヘルス疾患を抱える人など、様々な背景を持つ人の生活基盤全般をチームの在り方によりサポートできれば、人員不足の解決にもつながる。さらに、私自身が子供3人を持ち、時間制約付きとなったことで、サポートされるだけでなく貢献できるチーム術を追求してきた。チームで働き方改革を行う手法「カエル会議」働き方改革を実施するにあたり、「何から始めればよいかわからない」といった声が多い。弊社が実際にコンサルティングで提供している働き方改革のシンプルな手法である4つのステップの全体像を紹介したい。ステップ1からステップ4を一つの輪のようにとらえ、PDCAサイクルのようにぐるぐると回していくように進め、状況に応じて柔軟に軌道修正する。これまでマネジメントの主流であった、一人の意思決定者と大勢の手足というやり方では、現在の市場の変化に対応することが難しい。何が正解かわからなければなおさら、どのような些細な意見も正解への糸口になり得る。これらステップの中で特にキーとなるのが、ステップ3のカエル会議である。「カエル」には、働き方を振り返り、やり方を変えて、早く帰ることで、人生を変えるという意味を持たせている。カエル会議には職位によらず、その部門のメンバー全員が参加する。またどんな意見も否定されることなく、受け入れる土壌を作っていく必要がある。目指すのは、役職・年代・性別等に関わらず均等に意見が出ている状態だ。そのためには会議進行に必要な役割を複数人で分担したり、付箋などに書いたアイデアを共有したりという形で意見を出すという手法を使うこともある。カエル会議によって変革した具体事例から、チーム術を活用した挑戦をみていきたい。属人化排除のチーム術信幸プロテック株式会社は空調・給排水や産業設備の工事・メンテナンスを行う37名の岩手県内の企業である。働き方改革に取り組んだ6カ月の成果を紹介したい。社内業務担当チームは、自分達の働き方の中にある課題に徹底して向き合った。業務の分析を行ったところ「時間をかけたくない“見積・請求書の登録作業”に34.5%かかってる」「誰が何を担当しているかわからず、業務が属人化している」「技術的知識不足で問い合わせ回答に時間を要する」といった様々な課題を発見。それに対しスキルマップを作成した。これは縦軸に業務、横軸に名前を書き、◎〇△等の記号で、だれがどの業務ができるのかを見える化するツールだ。54 項目の業務を見直し、1人担当になっていた27 項目は複数担当に、10 項目は手順書を作って全メンバーが担当可能になった。また、現場のサービスマンに依頼内容を的確に伝えるため“スキルアップ勉強会”を開催した。3カ月で計28時間分もの学びの時間を作り、現場の要望を反映した受付対応に改善された。さらに、現場作業を携帯カメラで撮影して分析し、同じ作業内容でも担当者によって作業時間が全く違うことに気づい写真1 信幸プロテック株式会社のスキルアップ勉強会の様子図2 4つのステップ<ステップ1>現在の働き方を確認する<ステップ2>業務の課題を抽出<ステップ3>会議で働き方の見直し(カエル会議)<ステップ4>見直し施策の実施