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Consultant285

018 Civil Engineering Consultant VOL.285 October 2019た。ベテランの作業動画を共有することで、社内業務担当ながら、現場の技術向上と生産性向上をサポートする計画ができるようになった。これらにより、5~10月までの半年間で、修理の依頼受付件数が昨年度よりも180 件増えたにも関わらず、残業時間は全社で13.2%減らすことができた。マネジメントから変わるチーム術アパレル小売の株式会社シップスは「うちは、お客様思いの社員が多いので、残業は減らないんです」と言っていた、まさに顧客第一主義により圧迫されていた企業だ。毎日の仕事量が読みきれないのは突発依頼の多いコンサルタント業界と同じだ。お客様のためには残業、売り上げが達成できていないなら自身のライフよりも残って何かしなければ、といった傾向がどの店舗にも強かった。そんな中、同社ではまず、店長自身が働き方改革の必要性に納得できるよう研修を実施した。研修を受けた店長がリードして、各店舗で「カエル会議」を開く。店長はスタッフからの本音を引き出すべく、意見を否定しないことを徹底、全員参加のためにランチ会議を2部制にしたり、朝の準備時間に軽食を用意したりなど、話しやすい環境づくりを各々工夫していたという。結果、スタッフの自発的な取り組みへとつながっていった。店長たちにとって衝撃だったのは、これまで言われていた「お客様のために」という理由よりも、「店舗スタッフ同士のコミュニケーション不足」「店長のマネジメント力不足」が原因の残業の方が多かったことだ。各店舗がその課題と向き合い、一つ一つ解決していった結果、会社全体で深夜労働を38%削減、残業時間も25%削減を達成した。かき入れ時の年末年始でも、売り上げを伸ばしながら、労働時間を前年の8割に抑えることができた。中でもグランフロント大阪内の店舗では、好成績を上げながら、残業ゼロを達成した。商業施設全体の営業時間は21時までだ。テナント店として顧客から支持されるには、残業が必須だと思い込んでいた。しかし取り組んで見えてきたのは「作業の分担、引継ぎがスタッフ間でできていない」「接客中に他のスタッフが何をやっているか分からない」などが業務に支障をきたしていることだった。そこで、お互いの業務分担を明確化し、例えば、接客している時間帯は商品の在庫管理には携わらないなどとして、安心して店頭に立てるようにした。すると接客に集中できるため接客の質が高まり、以前より少ない時間で高い成果が上がったのだ。組織の壁を越えたチーム術鹿島建設株式会社中部支店では、カエル会議の手法を積極的に取り入れている。「若手カエル会議」により新入社員が現場監督業務のポイントを掴んでスケジューリングができるようになり、即戦力化したことで、先輩社員の生産性が向上した現場もある。さらに、「4週8閉所(週休2日)」を掲げ、担い手不足の建設業界にあって、下請企業のワーク・ライフバランスにもつながる改革を推進している。中でも設備部門では、かねてからの課題であったサブコンと協働した働き方改革を推進するため、関連する図3 鹿島建設の変化1.101.000.900.800.702016 年度注)2016年度及び2017年度は所定外時間数、2018年度は法定外及び法定休日時間数の合計値から算出12%減中部支店全体(管理部門含む)時間外労働削減状況(2016 年度基準比)2017 年度2018 年度写真2 株式会社シップスのカエル会議の様子