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Civil Engineering Consultant VOL.285 October 2019 0194 社で「合同カエル会議」を開催し、元請・下請の壁を取り払って改革をしている事例もある。半年間で12回ものカエル会議を開催し、定例会議のやり方や仕事の頼み方受け方に至るまで幅広く扱い、多くの変化を生み出している。その浸透度は、あるサブコン企業にて、「われわれの働き方はゼネコンに左右されるので、技術部門で改革を進めるのは難しい」という論調であったところを、「鹿島建設さんの現場では4週8閉所を実現されています」と現場の声があがり、他社の働き方改革を前進させるほどだ。業界全体でチームとなり、変わっていくことに期待が持てる。大塚倉庫株式会社では、チームの「時間あたり生産性」への意識を高め残業時間の削減を実現したり、事務所間でのコミュニケーションを活性化させ繁はん閑かんの波をカバーしあったりなど、自社の取り組みを進めている。さらに、配送業務を担うパートナー企業が、ドライバー不足で苦境にあると現場のドライバー個人にしわ寄せがきて結局は安定供給を脅かすため、物流業の根本である「入庫(他社)~保管(自社)~出庫(他社)」という外部企業とのリレーに着目した改革を実施した。トラックドライバーにとって常習となっていた車中泊での順番待ちに対し、同社は、他社企業の社員の長時間労働改善のため、ネットから事前に予約できる「トラック予約受付システム」を構築した。その結果、倉庫入場から退出までの所要時間は30 分以内となりドライバーの待ち時間が65%も削減できた。所要時間が読めるようになり仕事の回転が改善され、ドライバー個人も家族との時間が増えた。これらの取り組みによって、売上も毎年10%以上増加しながら、かつ10日以上の有給休暇を取る社員も5年間で47%増加した。働き方改革をリレーという視点で捉え、他社との相互改善を実行したこの事例は、構造的な問題を抱える他業種にも応用できる。自分だけでなく前後の走者に配慮して、リレーチーム全体のメリットになる働き方改革を実現させてゆくことができるのだ。これからは企業によって働き方の課題は異なり、取り組みの内容も100 社あれば100 通りあり、チーム術の活用法もそれぞれである。カエル会議ではベテランから若手まで意見を出し合うことで誰もが貢献でき、チームのアイデアで創意工夫すると課題解決に近づけることができる。これからはどの企業も当たり前に働き方を変えていく時代となる。成否のカギを握るチーム術を参考にしていただきたい。図4 10日以上有給取得率推移0.0%10.0%20.0%30.0%40.0%50.0%60.0%70.0%80.0%90.0%10 日以上有給取得率(%)010,00020,00030,00040,00050,00060,000売上高(百万円)1 2 3 4 5 6(年度)売上高(百万円) 10 日以上有給取得率(%)74.4%27.3%9か月決算写真3 鹿島建設株式会社中部支店の合同カエル会議の様子