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Consultant285
020 Civil Engineering Consultant VOL.285 October 2019堅苦しい広告論は語りません。建設と広告の仕事は似ています。そんな都合のいい話から本稿を始めさせていただくのは乱暴でしょうか。どちらもアートではなく、発注者から請け負う仕事です。目的を果たすために最適なチームを組んで、現場監督やクリエイティブディレクターのディレクション(演出・指導)に導かれながらプロジェクトが進められます。それを作った者の名前は、一般の人に広く知られることはありません。けれど、そこにはプロフェッショナルたちの確かな矜持があります。そう、私たちの作るという行為には、もともと本号のテーマである“挑戦”のニュアンスが込められているのだと思うのです。と、ここまで書いてみて、この誌面を借りて堅苦しい広告論を語らせてもらうつもりはない自分の気持ちに気づきました(笑)。まずは過去の名作と言われている具体的なコピーの中から見えてくる挑戦について、書かせてもらおうと思います。挑戦する人を応援する広告。「地図に残る仕事。」これは建設業界でもおなじみのコピーであると同時に、広告業界においても大きな支持を集めつづける名作コピーです。広告主は、大成建設(1993 年)。コピーライターは、私が主宰する「4コマ言葉の会」のメンバーでもありテニス仲間でもある安藤寛志さん。いいコピーには発見と共感があると言われますが、まさしくその好例ではないでしょうか。このコピーにおける“挑戦”は、社員の皆さんや現場に関わる皆さんを「私たちの仕事は大変だけど、地図に残る仕事なんだ。みんなで頑張って乗り越えようぜっ!」と、建設という仕事の醍醐味を端的に表現しながら、どんな困難にも挑戦する気持ちを起こさせるエネルギーとロマンを持っているところにあります。「同業他社でも同じことが言えるじゃないか。」ではなく、「そういうことを言える会社って、素敵。」なのです。それが例えば、社員の娘さんから見れば「地図に残る仕事をしている私のパパって、カッコいい。」であり、就活中の学生さんから見れば「地図に残る仕事をしているこの会社で働いてみたいな。」であり、たまたま建設現場を通りかかった近所のオバサンから見れば「現場の音が少し大きいと思ったけれど、地図に残る仕事をしているんだったら、仕方ないかもねぇ。」ということになります。挑戦を続けている者を、人は応援したいのです。このコピーが世の中に出てから25年以上経った今4 あるコピーたちとあるネーミングの挑戦の話後藤 国弘GOTO Kunihiro特 集挑 戦株式会社ドライブディレクション代表取締役/大正大学表現学部客員教授コピーライター/クリエイティブディレクター挑戦する上で、その取り組みや姿を知ってもらうことはとても重要な要素といえそうだ。なぜなら、知ってもらうことは、批評や助言を得られ、挑戦の質を向上させるとともに、時には、共感や触発も生むからだ。言葉が持つ力や伝えることへの示唆を得る。図1 建設現場などでも見かけるこのコピーは、挑戦する人に力を与えてくれます。