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Consultant285
024 Civil Engineering Consultant VOL.285 October 20192017年4月から神奈川県足柄上郡開かい成せい町まちにおいて、築300 年の茅葺屋根の古民家「あしがり郷ごう瀬せ戸と屋や敷しき」の指定管理者、ならびに創業慶応元(1865)年の酒蔵「瀬戸酒造店」の代表取締役として、オリエンタルコンサルタンツの社員2名とともに開成町へ常駐し、地域活性化事業を展開している。仕事の中心は、公共施設の管理運営と酒造メーカーとしての日本酒の製造、営業、販売である。もともと構造の技術者であった私が酒造メーカーの経営者になった経緯を挑戦として綴ることとする。構造技術者から新規事業開拓へ私は1995~2007年まで、大きいものを世に残したいという学生時代からの希望を叶え、構造技術者として橋梁や地下構造物の設計に携わっていた。一方、国内のインフラ整備は新設から維持管理の時代に突入し、構造技術者の活躍の場が減少することが予見されており、社内では、従来の受注中心の受動型ビジネスから、主導型ビジネスへの変革と、自らが投資してビジネスを行う事業経営に挑戦すべきという機運が生まれていた。その折、新規事業を開発するプロジェクトチームが発足し、メンバーの一人に抜擢された。私はPPP・PFI、なかでも道路や空港のコンセッション事業者としての参画をテーマに活動していた。事業者としてコンソーシアムに参加し、公募された案件にチャレンジする過程で、発注者である自治体のニーズを感じた。それは、維持管理を効率化したコスト縮減と同じぐらいインフラの魅力と利用率の向上、それを起爆剤とした地域活性化への期待が高いことであった。一方コンソーシアムでは、維持管理の効率化を推進する技術には工夫を凝らしたものがあったが、利用率向上や地域活性化については確かな実績を持つ会社がほとんどないことに気付いた。もし、地域活性化のプロになることができれば、インフラをとりまく課題の多くを解決できるのではないかと考えるようになり、私のターゲット案件に、既存のインフラを活用して地域の活性化を目指す事業が加わった。その一つが開成町の事業である。開成町との出会いと事業の芽きっかけは開成町の関係者が、わが社に相談を持ちかけたことから始まる。開成町の歴代の町長の公約には、40 年近く自家醸造を休止している酒蔵を再始動さ5 開成町の酒蔵再生事業への挑戦森 隆信MORI Takanobu特 集挑 戦株式会社瀬戸酒造店 代表取締役/あしがり郷 瀬戸屋敷 総支配人株式会社オリエンタルコンサルタンツ/ 関東支社地域活性化推進部/ 次長『美しい国土』『豊かな社会』『安全・安心できる生活』を創り出す建設コンサルタント技術者は、時に不確実性に立ち向かい、時に選択を迫られながらもそれを機会として捉え、俗にいうプロジェクトXを地で行く。そんな技術者の新たな挑戦の事例の一つを紹介する。写真1 瀬戸酒造醸造所