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巻頭言人口減少について2019 年7月に発表された人口動態調査によると、我が国の人口は10 年連続マイナスが続き、特に前年から過去最大の43万人以上が減少し1億2千4百万人となりました。首都圏の1都3県と沖縄を除き名古屋圏と関西圏を含み軒並み減少し、特に地方の減少が著しくさらに加速することが予想されています。また、高齢化も進展し、65歳以上の割合は28%を超え、70 歳以上が総人口に占める割合が初めて2割を超えました。人口減少は、経済の衰退だけでなく財政も圧迫しています。特に地方財政は、自治体全体の借入金残高は200兆円近くにのぼっています。そして、自治体によっては、財政基金(預金)が減少し、収入に対する借金返済の割合を示す「実質公債費比率」が地方債の発行に国の許可を要する比率に近づき、歳入歳出改革まったなしの厳しい状況になっているところが出てきています。また、今後、税収の大幅な減収が見込まれています。10年後の一例として、東北A市では26憶円、北海道H市では9 億円の減収となり、行政サービスの低下が危惧されています。そこで、近隣市町村が自治体の枠を超えて広域的に連携し、行政機能を維持するとともに都道府県と市町村が協力して活力を高める戦略的な地方再生強化への対策が急がれています。社会システムの構築行政運営に当たっては、政策の優先順位を明確にして計画的に進めることになります。財政健全化路線派からは早々に「将来人口が減少するのだからインフラの戦略的撤退が必要」などの声が出ています。不足しているインフラの状況を考慮しない費用対効果一辺倒による早々の撤退だけが先行することなく、未来に向けて交流人口の増加による経済活性化や命と暮らしを守る安全・安心の確保・向上等の総合的な評価など、広範囲に目をむけて議論を深める時です。そして、本格的な人口減少に向けて、経済成長を持続するまちづくりや人中心の空間を創出し、多様な交流を推進する必要があります。そこで、人口減少に対応する社会システム政策を立案し透明性を高め、多くのパブリックコメントに耳を傾けた対応を進めることが大切です。建設生産性向上に向けて新たな未来社会に向けて、活力増強を図る社会資本を充実させなければなりません。そこで、少子高齢化によって労働人口が減少する社会において、建設生産性を飛躍的に向上させるため、新技術等の開発と活用が急がれます。AI普及による第4次産業革命が進められており、さらに「ICT」「IoT」「ビッグデータ」などが鍵となります。我が国が人口減少、少子高齢化という大きな壁に直面している今こそ「令和」新時代に向けた改革と挑戦の時です。正に、デジタル革新、イノベーションを最大限活用して新たな未来社会を構築するチャンスなのかも知れません。社会・経済環境は大きな転換期を迎えており、建設コンサルタントは「安全で豊かな未来社会」に向けて役割を高める時です。寺本 邦一一般社団法人 建設コンサルタンツ協会 常任理事 北陸支部長人口減少と社会資本整備についてC o n s u l t a n t s