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Consultant285
028 Civil Engineering Consultant VOL.285 October 2019新時代を迎え、個々の建設コンサルタント技術者として、さらには業界全体としての様々な「挑戦」の場や機会づくりが重要となっている。ここでは、近年の働き方改革といった就業環境の変化を踏まえつつ、私のプロボノ活動を例に「挑戦」の場や機会づくりについて紹介したい。ちなみに、プロボノとは社会人が自らの専門知識や技能を生かして参加する社会貢献活動のことである。業界における自己研鑽の課題近年、建設コンサルタント業界に限らず、各分野の職種において様々な働き方改革の取り組みが進められている。さらなる少子高齢化や担い手不足が顕著となり、個々の生産性向上だけでは企業総体としての生産力の維持・確保が困難となってきているためである。特に建設コンサルタント業界の業務特性を踏まえると、発注者やエンドユーザーである国民や地域住民から求められるものは、技術力・品質の高さ、施策・事業の効果の発現であり、マニュアル的に学習できる範疇を大きく上回る自己研鑽を継続することが必須となっている。また、技術力を表現する我々技術者にとっては、人生100 歳時代といわれる高齢化社会において、生涯技術者としての就業継続の機会を与えられていることも喜ばなければならない。現在の多くの技術者の就業先では、働き方改革の推進成果により定時・勤務時間内の高い生産性が期待され、幕の内弁当のような濃厚なスケジュール構成と生産速度を以って成果品を納めるスタイルが、様々な手法で実践されている。そのため今までのOJT(On-The-Job-Training)のように、試行錯誤によるレッスン的な業務体験の機会を就業時間内に十分確保することが困難な状況となっている。さらに業務では、特記仕様や実施条件、工程・成果品の枠組を遵守するため、新たな技術の導入試行や長期的な試行、法令・基準・計画事業制度の枠を超えた実証実験や検証なども、自由度をもって取り組めないのが実態である。言い換えれば、現在においては技術レベルの高いOFF-JTの機会・場を通じて、自分にあった自己研鑽をどのように行えるかが鍵となっている。プロボノを実践する場建設コンサルタントの業務内容は公共公益性を多分に有するため、業務上得られた情報は機密保持義務があるものの、業務経験で得られた技術力・判断力・知見については、社会貢献となる社外活動においても存分に発揮することが可能であり、社会的意義がある。このような、自らの技術分野に関係する社外活動を見出すことが、OFF-JTの自己研鑽の機会・場を確保することにつながる。特にまちづくり等の地域活動における技術支援は、理想的なOFF-JTのフィールドである。まちづくりは、1年や2年の短期間で完了するものではなく、10 年、四半世紀、半世紀と長期間地域と関わりながら、まちの良好な空間整備や維持管理の実現、地元の組織体制構築、地域以外の関係機関との連携を実践することができる。もちろん一箇所に留まらず、一つの技術分野のテーマを活かし、多くの地域を支援するスタイルも考えられる。6 プロボノを通じた「挑戦」の場の拡大前川 裕介MAEKAWA Yusuke特 集挑 戦株式会社建設技術研究所/ 東京本社社会防災センター/ 次長働く場を通して自己実現したい、力を存分に発揮したい、興味を探求したいなどの思いを持って、今の職場を求めた人、就労の場を求める若者は少なからずいるだろう。そうした思いの実現に向けて職場以外でも挑戦できる場がある。その一つの事例を紹介する。