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Consultant285
Civil Engineering Consultant VOL.285 October 2019 003様々であるが、将来にわたって価値あるビッグデータであることは間違いない。この中で、ETC2.0 によって収集されるプローブデータ(ETCは料金所渋滞の解消などを目指した自動料金徴収システム。ETC2.0 は、さらに道路に設置された路側機との間で高速通信を行い、自動料金徴収のほかに、渋滞回避、安全運転支援などのサービスの提供を受けることができ、また、道路交通情報の改善などの目的で走行履歴情報等のデータが収集される)について見てみると、現時点で1月あたり約1,300万台分のデータが路側機(高速道路上約1,700 箇所など)を通して収集され、走行履歴(200mごと+交差点)、トリップ(個人情報保護の観点から、起終点は詳細に記録されない)、挙動情報(急ブレーキ、急ハンドル)などのデータが、国土交通省のサーバーに集まる。このデータのサイズは、毎月約2テラバイトのオーダー(作業上のサイズ)で蓄積されていき、まさにビッグデータである。市場化されている他のプローブデータと比べても、データの偏り(都市集中など)が少ない特徴があり、広域的な道路交通の分析にはメリットが大きいと思われる。一方、特に一般道路では路側機が網羅されているわけではないので、すべてのデータがリアルタイムで収集できるわけではなく、データにタイムラグが生じることもある。これまで、ETC2.0プローブデータが活用されなかったのは、民間利用のルール(個人情報保護、負担のルールなどが必要)が確立されていなかったこともあるが、データが膨大でなかなか利用者のニーズに個別に対応できなかったこともある。このため、国土交通省を中心に、関係する組織も自主的に協力してデータのバグを除いた上で、まず民間のニーズを公募してその目的に沿ったデータ加工と配信を試行することを始めている(当然ながら、基本的に国のデータであり、公共性への配慮は必要である)。すでに、国土交通省には民間から多くの提案がなされている。例えば、以下のようなことである。・観光地の駐車場の混雑予測・バス・高速バスの運行情報の精度向上・エリアのヒヤリハット情報提供・地域のニーズに合った駐車場の運営・道路のメインテナンスへの応用これらの提案サービスの実用化に向け、ETC2.0データを活用した検証を次年度末まで行う予定である。さらに特定プローブ(契約により起終点の位置情報も収集)の場合、車両の運行管理などさらに広く活用が可能である。また、道路管理者側から見れば、現在行っている道路交通センサスなどの道路交通調査の拡充や、交通計画への応用、路面診断など道路管理への応用も可能である。沿道に立地予定の企業から見れば、来客数などの需要予測に不可欠なデータとなることが予想される。自動運転なども含めて、今後、道路交通に関係するビッグデータ活用への挑戦は不可欠であろう。一方、あまりに多くの機関が同趣旨のデータを提供していく場合、利便性の上からデータ間の調整(様式やルール)なども不可欠になっていくと思われる。今後の議論に期待したい。図2 プローブデータを用いた潜在的な交通危険箇所の特定