ブックタイトルConsultant287

ページ
12/86

このページは Consultant287 の電子ブックに掲載されている12ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant287

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant287

010 Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020閉鎖宣言を出した。ドイツでは1777年、珈琲の消費量が増加し国を破産に追い込むほどの輸入量になったため、フレデリック大王が禁止令を布告した。1789 年のフランス革命の時には、青年革命家達が毎日珈琲店に集い、ルイ16世の暴政をあばき人々に革命を訴えた。日本でも第二次世界大戦中、欧米敵視政策のターゲットとして珈琲がやり玉に挙げられたこともあった。これらの背景には、人の集まる場には欠かせない珈琲と人との繋がりがあった。焙煎の始まりと焙煎器具の変遷珈琲豆の焙煎・粉砕・抽出の技術及び器具の発達等が進むにつれ、珈琲と珈琲が伝播した地域の文化とが結合し、ますます珈琲豆の需要が増加して栽培地域が拡大していった。珈琲が発見された当初は、種ではなく果肉の部分が食用として用いられた。実をつぶして油で練ってダンゴ状にしたり、スープとして食べたりしていた。現在でも、果肉をジャムにしている国もある。それまで生豆から煮出されていた珈琲は、生豆を焙煎することによって、その味と香りがそれまでの珈琲とは全く異なるものになることが分かり、人々に競って飲まれるようになった。珈琲の新しい世界が開かれたのである。初期の焙煎は素焼きの土器を直接火にかざした方法で行われた。1400 年以降は、金属の鍋とかきまぜ棒や、煎り鍋等も使用された。1600 年頃、フライパンに脚が付いた形状でそのまま火の上に据えられる道具が考案された。1670 年、オランダ人は鉄板で小型の筒状の密封された道具を作り、火の上にかざして回せるようにした。この焙煎機はその後19 世紀の半ばまで、オランダ、フランス、イギリス、アメリカで普及した。20 世紀初頭から第一次世界大戦末期には、ドラムの中のシリンダに生豆をいれ、そこに熱源が通るようにして、シリンダを回転させるようになった。19 世紀後半には、現代に繋がる焙煎機が作られた。これがアメリカのバーンズ焙煎機(1864年)であり、ドイツのエメリッヒの改良焙煎機である。これ以降、焙煎機は構造に改良が加えられたが、原理的な部分はこの時に確立された。燃料には石炭、コークス、木材から都市ガス、天然ガス、灯油、重油、炭、遠赤外線等の熱源が使われた。構造は直火式、半熱風式、熱風式、熱風循環式ドラム、その他の加圧式等の機種が登場してきた。抽出の変遷1800 年初めに珈琲の粉を水又は湯の中に入れて浸出させる浸しん漬し 法ほうと、熱湯あるいは水を注ぎ透過させる透過法が発案され、その後ヨーロッパ各国において様々な器具が発明・開発された。浸漬法の抽出器具として、1710 年フランスでボイリング法が確立され、1800 年頃、パリでド・ベロウがフランス式ドリップポットを考案した。1806年イギリスのラムフォードがこれにヒントを得て、パーコレーターの原型を作り、1819 年にローランが完成させた。1817年頃、フランスでブリキ職人ビギンが考案したのがポットの上部に布製ネル等の袋をさげ、その中に粉を入れる抽出器コーヒービギンであり、これがアメリカに渡り改良された。1840 年スコットランドの造船技師ロバート・ナビヤにより、バキューム式の浸漬器具が作られ、その後フランスで改良され、現在のサイフォンになった。1763 年フランスでドンマルタン透過法と浸漬法を合わせたコーヒーポットが作られた。ドリップ法の一杯取りを多人数分出すためのコーヒーアーンである。1843年フランス人デサンテが考案した機械をきっかけに、イタリアでエスプレッソ・マシーンの開発が始まり、1901年ミラノのベゼラ製機械の特徴が現在に繋がっている。図4 抽出器の普及① 特許証に描かれたフランス初期のコーヒー沸かし器の図面。左、1806 年のドリップポット 次の2 点 デュランの内部管式ポット(1827年) 4 番目、初めて実用化されたガンデーのポンプ式パーコレーター(1827年) 右、グランダンとクレボーのパーコレーター(1832 年)② フランス式ドリップポットの原型。ド・ペロワのコーヒー沸かし器③ ラムフォード伯爵のハーコレーター④ 19 世紀フランスのコーヒー沸かし器。1・2、フランス式ドリップポットの改良型 3、ペルシャ風デザイン 4、ド・ペロワのポット 5、ロシア風反転ポット 6、新式の濾過機械 7、ガラス製濾過式ポット 8、サイホン機械 9、「ウィーンの白眉」 10、ガラス球二段式コーヒー沸かし器①② ④③