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Consultant287
Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020 011粉砕とミル機器の変遷珈琲豆の粉砕方法は、初期は臼と杵で粉に磨り潰す方法が一般的であり、次いで、上部が回転・下部が固定された上下2個の臼で粉砕するようになった。1500 年頃のトルコでは金属製「筒状コーヒーミル」が、1600 ~1630 年のヨーロッパでは鉄、真鍮、青銅でできた臼と杵が広く使われた。1655年にはトルコ式の組み合わせコーヒーグラインダーがダマスカスで作られ、1720 年頃からフランスでもコーヒーグラインダーが広く使われるようになった。日本における珈琲の流れ日本は今や世界第4位の珈琲消費国になっている。歴史的には幕末に薬用として伝播して以来、大正期には欧米文化を疑似体験できるカフェの広がり、第二次世界大戦中の珈琲の迫害や戦後の代用珈琲がある。珈琲が喫茶店等から広く家庭に取り入れられるのに、日本人による二大イノベーションがある。一つはシカゴ在住の日本人科学者加藤サトリ博士が開発したインスタントコーヒーである。1901年に全米博覧会で販売が始まり、第二次世界大戦後急速に普及した。もう一つは1959 年に日本で初めて作られた缶珈琲である。これらにより、珈琲消費が急速に拡大されるが、その後にも現在までに3つの波があり、珈琲の質の変化がある。「第一の波」は経済成長が牽引した喫茶店ブーム。「第二の波」は1990 年代後半に始まるスターバックスに代表されるシアトル系カフェで、豆を深煎りしたイタリア系エスプレッソが見直された。「第三の波」ではさらに豆の素材の特性を見極め、香味の個性を引き出して楽しむスペシャリティコーヒーとして発展してきた。この間、珈琲の品質や焙煎・粉砕・抽出の技術が向上し、珈琲の幅が大きく広がった。しかし珈琲液はどうしても時間が経過すると酸化され、雑味がでてくる。これを抑えるために砂糖とミルクを入れ、香り豊かで飲み易くしたものが現実に今多く飲まれつつある(図6 参照)。次に来るであろう「第四の波」は、筆者には単に美味しい珈琲から味の多様化、そして健康や美容効果等の付加価値が浮かぶのである。どのような波が来るのか、楽しみである。図5 粉砕器の普及図6 コーヒーの質の変化