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Consultant287
014 Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020仕事でした。ようやく今世紀になって確かなデータが出はじめて、そして世界各地から論文5編以上が出た段階で、全部を集約して解析し直す作業も進みました。データの信頼性が一段と向上したのです。表1に、毎日コーヒーを飲んでいる集団と滅多に飲まない集団を比べたとき、飲んでいる集団で発症リスクが下がる病気をまとめました。生活習慣病の代表と言える2型糖尿病と肝臓病のリスク低下は、実に50%以上にもなるのです。単一の飲み物でこれほどの予防効果を示すものは他にありません。更に言えることは、コーヒーは病気を予防するだけではないということです。筆者が強調したいのは「毎日コーヒーを飲んでいる人は病気になっても死亡するリスクが低い」ということです。特に四大死因病のうちがんを除く3つの病気(心臓病、脳卒中、呼吸器疾患)の死亡リスクは、コーヒーを1日3~4 杯飲む人たちが最も低くなっているのです(図4)。これは日本人のデータですが、欧米各国からもほぼ同じデータが出ています。そしてすべての死因をまとめた全死亡リスクを見ても、コーヒー1日3~4 杯が寿命を延長するのです。ただ注意すべきは、5 杯を超えると逆にリスクが高くなることです。ではがんの場合はどうでしょうか。がん全体としては、コーヒーの影響は僅かなもので、図4の全死亡リスクへのがん死の影響は現われません。しかし、がんの種類別にみると様相が少し異なります(図5)。肝臓の発がんリスクはコーヒーで50%以下に下がります。発がんの原因がアルコール性でもウイルス性でも同じです。実に驚くべき予防効果です。肝臓に次いで口腔咽頭がんから前立腺がんまで、コーヒーの発がん予防効果が見られます。しかし、乳がんから膀胱がんまでは無関係です。成分ブレンドの薬理学焙煎するとなくなってしまうクロロゲン酸ですが、浅く煎った豆ならまだ残っています。ポリフェノールの1種臓器がん(図5も参照)脳梗塞(飲み過ぎ注意)心筋梗塞(飲み過ぎ注意)呼吸器疾患(カフェインは喘息の薬でした)2 型糖尿病高脂血症/ 肥満/メタボリックシンドローム痛風/ 高尿酸血症/ 腎不全アルコール性肝炎/脂肪肝/NASH/ 肝硬変パーキンソン病/老化による物忘れうつ病/自殺(躁うつ病を除く)表1 コーヒーで発症リスクが下がる病気1日3 ?4 杯のコーヒーが発症リスクを下げるという病気。よくある高血圧はコーヒーとは無関係。アルツハイマー病には確たる証拠がありません図4 コーヒーが疾患別死亡リスクと全死亡リスクに及ぼす影響コーヒーを飲まない群のリスクを1.0とし、コーヒーを飲む集団のリスクは1日杯数に分けて示してあります図5 コーヒーと臓器発がんリスクの関係コーヒーを飲まない集団の発がんリスクを1.0とし、毎日コーヒーを飲む集団の相対リスクを示す(2019 年8月までの論文のまとめ)全死亡リスク0.00.20.40.60.81.01.2がん心疾患脳血管疾患呼吸器疾患疾患別死亡リスクほとんど飲まない1日1杯未満1日1~2杯1日3~4杯1日5杯以上臓器がんの種類相対発がんリスク肝口腔咽頭皮膚脳子宮体食道扁平上皮膵大腸前立腺乳甲状腺食道腺肺咽頭卵巣胃膀胱全00.51.0