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Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020 015ですから抗酸化作用を示します。コーヒーのポリフェノールが優れている理由は、カフェインと一緒に摂ることで、特に肝臓病の予防にはこの組み合わせが絶妙の威力を発揮します。ポリフェノールの抗酸化作用とカフェインの抗炎症作用が合わさると、「1+1> 2」という相乗効果が現われます。コーヒーの相乗効果は「浅煎り+深煎り」の組合せでも現われます。浅煎りのポリフェノールと深煎りのニコチン酸、それに両方に入っているカフェインが加わって、三種の神器とも言える威力を発揮するのです(図6)。3つの成分のうちキーになるのはニコチン酸です。ビタミンB3の仲間で欠乏すると全身性の浮腫を起こして死亡します。ニコチン酸は第二次世界大戦後の食糧不足から人々の命を護るため、強化小麦粉と強化米に加えてありました。戦後の学校給食のパンもご飯も強化食品で作られていたのです。ニコチン酸は体内でNADに変化して、ミトコンドリアがエネルギーを作るときの触媒の役目を果たします(図7)。そしてできるエネルギーが筋肉と神経に命を与え、運動機能と精神活動を支えます。しかし、NADの役目はそれだけではありません。NADは赤ワインで有名になった長寿遺伝子を活性化します。そして長寿遺伝子は老化関連疾患を予防して、死亡リスクを下げる働きをするのです。ですから元気な老後を過ごすには「エネルギーを作って、かつ老化を予防するNADが必要」なのです。しかし、NADは年を取ると減ってきます。だからニコチン酸を補給して不足を補うことが大事です。問題はニコチン酸を含んでいる食品が3つしかないということです。その3つとは、コーヒーの他にキノコとピーナッツがあるのですが、毎日の食習慣として無理なく口にできるのはコーヒーではないでしょうか。焙煎度が中煎りならば1杯に1mg、深煎りなら最大5mgが含まれています。深煎りを3 杯飲めば1日の需要を満たすことができるのです。最後に図7を見ながら2つのポイントに注目してください。1つは、ミトコンドリアでできる過剰な活性酸素がもたらす酸化ストレスと炎症を、ポリフェノールとカフェインが協力して防いでくれること。2つ目は、赤ワインで有名になった長寿遺伝子ですが、コーヒーのニコチン酸からできるNADも同じように長寿遺伝子を刺激して、老化関連疾患を予防してくれることです。老化によって不足するNADを、毎日のコーヒーが補ってくれるということです。百寿までコーヒー成分の三種の神器は、老化を予防し老化に伴う重大な病気を防ぎます。運悪く病気になったとしても直ぐに死ぬことはありません。効き目は誰でも100%とは行きませんが、それなりの良い影響が現われます。東京銀座にある「珈琲だけの店ランブル」の関口一郎氏は、104歳で亡くなるまで、コーヒー豆の店頭焙煎に励んでおられました。図6 コーヒー豆の有効成分/三種の神器玉剣鏡のどれが欠けても効き目は半減してしまいます図7 三種の神器の作用点NADの98%がニコチン酸からできます。NADはミトコンドリアで糖と脂肪を燃やしてエネルギーを作りますが、このとき活性酸素もできてしまいます