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020 Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020喫茶店数は半減、コーヒー輸入量は1.4倍に日本人がカフェでコーヒーを楽しむようになって130年以上経ちます。存在が確認できる最古の店「可か否ひ茶さ館かん」が、東京・上野に開業したのが1888年のことです。残念ながら可否茶館は5年で閉店しましたが、1911年、銀座に「カフェープランタン」「カフェーライオン」「カフェーパウリスタ」という3つの店が開業。パウリスタは同店名で現在も人気で、ライオンはビヤホール「サッポロライオン」となり、こちらも繁盛店です。時代を彩った名店から1世紀以上たった現在はどんな状況なのか。まずは「喫茶店の店舗数」と「コーヒー輸入量」を、総務省統計を基にした全日本コーヒー協会の数値で比較してみましょう。1991年「12万6,260店」 → 2016年「6万7,198店」過去最高は15万店超。平成時代に「喫茶店」(カフェを含む)数は半減しています。一方、コーヒーの消費量は拡大しました。例えば、比較しやすいコーヒー輸入量「生豆換算」で見ると、約30 年で1.4倍となっています。1990年「32万4,841t」 → 2017年「45万8,961t」つまり、コーヒーの輸入量・消費量が拡大する一方で、喫茶店数は激減した。主な理由は「コーヒーを飲む場所」が増えたからです。かつては珍しかった「コンビニコーヒー」が大幅に伸び(コンビニの公表店舗数は5万8,340店。日本フランチャイズチェーン協会2018年度調査)、業態・価格帯が多様化したレストランもコーヒーを置く。全国各地のカラオケボックスや自動販売機でも必需品で、今やどこでも飲める飲み物となっています。国内1,500 店を超えたスターバックスコーヒーを出す専門店、統計上の喫茶店・カフェは寡占化が進みました。スターバックスの国内店舗数が2019年で1,500店を超え、現在はスタバ1強時代といえます。店舗数が国内で500店を超えるのは表1の4つ。いわば4大チェーンです。コーヒーは日常品、カフェは異日常「消費者意識」の視点で、まずこの現状をご理解いただきたいと思います。コーヒーは日常品で、一日に何杯も飲む人が多い時代。それを提供する店としてのカフェは「異日常」の存在です。昭和時代のような特別な存在(脱日常)ではありません。現代でも人気の店は、飲食がおいしくて居心地のよい店です。そんなの当たり前と思うかもしれませんが、繁盛店は「自宅では再現できない味と雰囲気」が評価されるのです。「基本性能」と「付加価値」の視点で説明しましょう。4“しゃべり場の象徴”に進化した「カフェ」高井 尚之TAKAI Naoyuki特 集コーヒー/カフェ/まち経済ジャーナリスト/ 経営コンサルタント日本人とコーヒーの出合いから1世紀以上が経った。その歴史の中で、コーヒー自体の消費量、提供するカフェや喫茶店などの場は大きく変化してきた。長く歴史を刻んでいる「カフェ」に共通する「いい店の条件」を知る。順位店名国内店舗数① スターバックス コーヒー1,530 店(2019 年12月31日現在)② ドトールコーヒーショップ1,105店(2020 年1月31日現在)③ 珈琲所 コメダ珈琲店849 店(2019 年8月31現在)④ タリーズコーヒー741店(2019 年12月31日現在)表1 4大チェーンの店舗数と売上高(各社の発表資料をもとに筆者作成)