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Consultant287

028 Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020賑わいの消えた街角で青森市の中心部を東西に走る高速道路の青森中央IC付近の北側は大型ショッピングセンター、ファミリーレストラン、スーパーマーケットがひしめき合う。その周辺には住宅街が広がり学校、病院、公共施設が充実した新興住宅地として急速に開発が進んで来た。それに対し道路一本隔てた南側は、休耕田や閉鎖した大型商業施設の廃墟、空き家となったコンビニなどが点在する寂れた地域に変貌する。古くからの住民が住む家屋が点々とあるが、都市ガスや下水道、ケーブルテレビ等のインフラは完全にストップしている。私の住む青森市郊外の荒川地区はこの南側にあり、市街化調整区域に指定されている。幼少期を過ごした昭和の頃は道沿いに商店街が連なり、徒歩で生活に必要な物は全て揃う活気のある地域だったのだが。辛うじて残ったのが地域中心部の交差点、荒川十文字の角にあるコンビニ1軒だけであったが、この店の灯りも突然消えて既に3 年目の冬を迎えようとしていた。青森市は人口10万人以上住む都市のなかで世界一積雪の多い超豪雪地帯で、ひと冬の累積降雪量は35年間平均で6.4mを超える。隣接する商業地までの一本道は厳しい西風が吹きつける地吹雪の名所で、車でもホワイトアウトで走行できない事もあり、歩道は除雪の雪が壁のように積まれ歩行での移動は困難となる。人と街を彩る寂れた荒川十文字の角に立つ1軒の旧コンビニ物件。その灯りが消えて秋の枯葉もそのままに、冬になれば除雪の雪が山のように積まれるはずの駐車場。2018年11月下旬、私は今ここで何が出来るか考えていた。コーヒーカラーズを創業して既に10 年目の冬、自宅のガレージはコーヒーの焙煎所、倉庫も自宅も生豆、資材包材、製品で一杯になっていた。50 坪の建物に15台の駐車場がある旧コンビニなら様々な展開が可能となる。私は頭の中で想像を膨らませていた。6 人とのつながりを創るカフェ木村 希士KIMURA Marehito特 集コーヒー/カフェ/まちコーヒーカラーズ代表過疎化が進んでいる地域では、コミュニティーの希薄化が問題となっている。そこにカフェが出来たことによって、一杯のコーヒーが地域をつなげる媒体となった。カフェという場が持つ求心力や役割について知る。写真1 コンビニだったコーヒーカラーズ荒川店