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Consultant287
Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020 029コーヒーのアグリカルチャーからカフェカルチャーまで、川上から川下まで全てが網羅された店舗、本部、加工所、倉庫、事務所を兼ねた事業基地。一気に構想が広がり、その勢いのままに仲介の不動産会社と面談したのだが、担当者の説明は「ここで飲食店は出来ませんよ」だった。詳しく聞けば「市街化調整区域での新規事業は原則禁止で、既存の建物については当初の建設許可された事業のみに限られる」とのこと。つまり、コンビニの後はコンビニしか出来ないと言うのだ。それでも諦めきれない私は、近くのコンビニをじっくりと観察して大事な事に気が付いた。コンビニの本質は小売業であり飲食店ではないのに、最近はカフェのようなフリースペースを設け、購入した商品をお客様が自由に飲食している。そこで市役所の開発課に出向いて、コーヒー豆とコーヒー飲料の小売販売店としての店舗、焙煎所、倉庫、事務所を併設した図面を見てもらった。少し違うのが広々としたフリースペース。「ここは客室ですか?」との質問に「お客様に限らず、誰でも自由にお使いいただけるフリースペースです」と答えた。数分程度の課内の打合せの後、意外なことに「食品小売業なら特に申請は必要ありません。OKです」との嬉しい知らせを聞くことが出来た。クラウドファンディングへの挑戦2018年12月から物件を借りて、焙煎所として稼働しながら翌年4月のオープンを目指し、改装や設備搬入を進めていた頃、地元新聞の東奥日報社が企画するクラウドファンディングへの参加のお話を頂いた。内容を聞くと「地域の困ったことや問題を地域の方々と一緒に解決する、地域に密着した読者参加型の取り組み」らしい。そこで、ちょうど私が考えていたフリースペース構想を話してみた。この地域には気軽に集い語らうような自由な場所が無い。特に車で自由に移動できない子供や高齢者の方々も利用できる明るく自由な場所、フリースペースが必要だと思う。そう話すと担当者から改めて「その内装費やインテリアの一部を是非クラウドファンディングで集めましょう!」と誘われた。クラウドファンディングは基本的にインターネットの専門業者サイトからの情報発信になるが、地元新聞社のタブロイド特集版で表紙と見開き3ページを割いた記事が、青森県内で22万部以上配布される。私はこの情報発信で、地域の方々に我々の取り組みの存在と意義をしっかりと伝えることに注力した。これは大成功で当初の目標80万円はすぐクリアーし、追加の外壁工事20万円のネクストチャレンジも早々に突破、最終的には120万円以上の支援が集まった。リターンの返礼品はコーヒー・焙煎豆・製品がかなり割安に購入できるチケットにした。そして2か月後、大手カフェチェーンのような理想的な写真3 荒川店のエントランス写真4 荒川店のフリースペース写真2 東奥日報社発行のタブロイド紙「HANASAKA」(2019 年4月19日付)