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Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020 035墳群」まで、19の文化遺産と4つの自然遺産の合計23の資産(群)が世界遺産一覧表に登録されています。■ 世界遺産の価値冒頭に挙げた国内外の世界遺産は、写真でもインパクトがあり「世界遺産としての価値がありそう!」と一目見ただけで思われることでしょう。しかし、逆になかなかその価値が伝わりづらい世界遺産もあります。例えば筆者が一部、価値の評価などに携わった「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が一例として挙げられるでしょう。この世界遺産の一部を構成する「三池港」(福岡県大牟田市)の推薦及び管理保全計画の策定に携わりました。その経験から、三池港の世界遺産としての価値について紹介したいと思います。■ 三池港について三池港は、三池炭鉱で採掘される石炭の積出用の私有港として、三井鉱山株式会社(現日本コークス工業株式会社)が1908年に有明海に面した大牟田の地に整備しました。今ではなかなか考えられませんが、一民間企業が港全体をつくったのです。は英語とフランス語で、文化庁が日本語訳をホームページで公開しています。この作業指針によると、世界遺産は、一国にとどまらず人類全体にとって、現代及び将来において顕著な普遍的価値(Outstanding UniversalValue)を有している「記念物」「建造物群」「遺跡」「自然」等の資産とされます。顕著な普遍的価値を有していれば、何でもかんでもが世界遺産になれるということではなく、価値を証明し、その価値を将来にわたって保全していくことを約束できたものが、世界遺産一覧表に記載されることで、やっと世界遺産になります。登録されるまでには何十年といった期間とたくさんの人たちの力の結集を要します。1972年にユネスコで採択された世界遺産条約(『世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約』)を日本は1992年に批准し、152番目の締約国となりました。2019 年7月時点で世界には1,121件の世界遺産がありますが、日本では1993 年の「法隆寺地域の仏教建造物」「姫路城」「白神山地」「屋久島」の4つから、2019年7月に新たに世界遺産一覧表に追加された「百舌鳥・古市古世界遺産条約を締結国内の暫定リストを世界遺産委員会へ提出123 推薦への準備作業●顕著な普遍的価値の証明・「世界遺産条約履行のための作業指針」の登録基準への適合・資産の真実性(オーセンティシティ)の証明(意匠、材料、技術、環境等の属性(アトリビュート)がオリジナルな状態を保っていること)●国内における万全の保護措置・構成資産の保全のための国内法等による指定・負の影響から構成資産を守るための緩衝地帯(バッファーゾーン)の設定・将来にわたって資産価値を守るための計画(管理保全計画)の作成等暫定リストに記載された物件の中から準備が整ったものを推薦4 推薦書をユネスコ世界遺産センターへ提出推薦された物件に関して、文化遺産はICOMOS(国際記念物遺跡会議)、5 自然遺産はIUCN(国際自然保護連合)が審査、現地調査の実施世界遺産委員会においてICOMOS、IUCNの報告に基づき、6 世界遺産リストへの登録の可否を審査写真4 姫路城写真5 厳島神社図1 世界遺産リストへの記載までの手続き