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Consultant287
036 Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020外国人技術者から技術を習得した1860 年代以降の第2 段階、そして日本人技術者が育ち、習得した技術の実践と応用を繰り返し、我が国の産業革命を実現した明治後期となる1890~1910 年の第3段階です。このような3つの段階を経て、日本は非西洋地域において初めてとなる西洋からの技術移転を行いつつ、伝統的な日本文化と融合させ、世界中が驚くほど急激に近代化を成し遂げました。このことを評価されて「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、2015年7月5日、第39回ユネスコ世界遺産委員会において世界遺産一覧表に記載され、世界遺産となりました。■ 三池港の価値三池エリアは、三池炭鉱・三池港と三角西港の2つの構成資産から1951年の『港湾法』制定の際に、国内外輸送の重要なネットワークを形成する役割をもつ重要港湾に指定され、1971年には福岡県が港湾管理者となっています。三池炭鉱が閉山した1997年以降、一部の施設を公有化し、県と国によって石炭以外の貨物を扱うための公共のふ頭や航路など港湾施設の整備が進められました。1999年には港湾の開発、利用や保全を適切に行うための基本的な方針を定める、三池港港湾計画が策定されています。2006 年には国際コンテナ定期航路が就航し、2008 年には、三池港後背地に有明沿岸道路が大牟田ICまで開通しました。これにより三池港の取扱貨物量が大きく増加したため、2010 年に国際コンテナ定期航路は週2便に増便されました。また2012 年に有明沿岸道路が三池港ICまで延伸されたことにより、三池港後背地の道路ネットワークが一層強化され、2014 年の国際コンテナ取扱貨物量は2006 年比で約20 倍まで増加しています。現在では石炭の積出港としての役割は終えていますが、福岡県南地域の物流拠点として重要な役割を担っています。■ 明治日本の産業革命遺産につ■ いて三池港が構成資産の一部となっている「明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、北は岩手県から南は鹿児島県までの8エリア、11サイト、23の構成資産で構成されています。この世界遺産は、「日本の産業革命」というストーリーに関係する一連の構成資産全体で顕著な普遍的価値を構成するシリアルノミネーションという手法が取られています。また、顕著な普遍的価値には3つの段階があります。1850 年代から1860 年代にかけて西洋の技術を取り入れようと、外国語で書かれた技術本を読んで独力で試行錯誤した第1段階、お雇い外国人と呼ばれる図2 三池港位置図エリアサイトID 構成資産所在地1 萩1 萩の産業化初期の遺産群1-1 萩反射炉山口県萩市1-2 恵美須ヶ鼻造船所跡 〃1-3 大板山たたら製鉄遺跡 〃1-4 萩城下町 〃1-5 松下村塾 〃2 鹿児島2 旧集成館2-1 旧集成館鹿児島県鹿児島市2-2 寺山炭窯跡 〃2-3 関吉の疎水溝 〃3 韮山3 韮山反射炉3-1 韮山反射炉静岡県伊豆の国市4 釜石4 橋野鉄鉱山4-1 橋野鉄鉱山岩手県釜石市5 佐賀5 三重津海軍所跡5-1 三重津海軍所跡佐賀県佐賀市6 長崎6 長崎造船所6-1 小菅修船場跡長崎県長崎市6-2 第三船渠 〃6-3 ジャイアント カンチレバークレーン 〃6-4 旧木型場 〃6-5 占勝閣 〃7 高島炭鉱6-6 高島炭坑 〃6-7 端島炭坑 〃8 旧グラバー住宅6-8 旧クラバー住宅 〃7 三池9 三池炭鉱・三池港7-1 三池炭鉱・三池港福岡県大牟田市熊本県荒尾市10 三角西港7-2 三角西港熊本県宇城市8 八幡11 官営八幡製鐵所8-1 官営八幡製鐵所福岡県北九州市8-2 遠賀川水源地ポンプ室福岡県中間市(出典:明治日本の産業革命遺産HP(http://www.japansmeijiindustrialrevolution.com/))表1 明治日本の産業革命遺産の構成資産一覧