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Consultant287
城県・福島県・仙台市の知事等が参加する第9回復興加速化会議(平成31年1月開催)においても議論が行われた。各知事等からはこの取り組みを連携して進めたいとの発言で一致し、それを受けて国土交通大臣から、東北地方整備局がとりまとめ役となって具体の取り組みを加速するよう指示があった。これを受け、具体の取り組みの第一弾として、東日本大震災の実情や教訓を伝承する「震災伝承施設」の募集を行い、平成31年3月に初回として192 件を登録し、現在224件が登録されている※。写真1~4で示したような震災遺構や展示施設のほか、モニュメントや古来受け継がれてきた石碑など、伝承施設は多岐にわたっている(写真6)。登録された伝承施設は訪問や理解のしやすさ等に応じて第1分類~第3分類に分類されている。第3分類は、駐車場、案内人や多言語対応などの受け入れ環境が最も整っているカテゴリーであり、施設の案内標識に震災伝承施設の標章(ピクトグラム)(図1)を使用することができる。令和元年5月には、岩手県宮古市田老地区において、ピクトグラムを用いた案内標識第1号が設置された(写真7)。復興祈念公園の整備震災伝承施設のほとんどは自治体により整備・管理されているが、東北地方整備局が関わっている施設の例を一つ紹介する。東日本大震災による犠牲者への追悼と鎮魂、震災の記憶と教訓の後世への伝承とともに、国内外に向けた復興に対する強い意志の発信のため、国が整備する「国営追悼・祈念施設(仮称)」を核とする復興祈念公園の整備が国・県・市・町の連携により進められている。このうち岩手県陸前高田市に整備される高田松原津波復興祈念公園が令和元年9月に一部オープンした。この公園内には震災の貴重な教訓を展示する東日本大震災津波伝承館が整備されており、震災伝承施設として登録されている。5つのゾーンで構成される展示スペースは1,000m2を超える広さである。このうち「教訓を学ぶ」ゾーンでは、東北地方整備局の災害対策室が移築されており(写真8)、くしの歯作戦をはじめとするインフラ関係者の初動対応をつぶさに体験することができる。また、津波警報が発令されている中で現場の最前線で道路啓けい開かいを担った建設業関係者の活動も、作業員の生の声とともに展示されている。当時の緊迫した雰囲気と、様々な関係者の苦悩と行動がひしひしと伝わってくる。これらは官民のインフラ関係者が災害対応に臨む事前の心構えを身につけるのに必見のものと言える。加えて、一般の方々にもご覧いただくことで、災害時の建設業界の役割に関する理解が深まることも期待できる。■ 産学官民の連携震災伝承ネットワーク協議会の取り組みの実施にあたっては、東北4県にまたがる広域性、震災伝承という奇跡の一本松津波の石碑写真6 震災伝承施設の例図1 ピクトグラム写真7 案内標識今回設置した部分写真8 東北地方整備局災害対策室(移築)052 Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020