ブックタイトルConsultant287

ページ
55/86

このページは Consultant287 の電子ブックに掲載されている55ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant287

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant287

持続性、伝承ロードの構築という新規性が求められることから、同協議会の下で「震災伝承検討会」(座長:今村文彦 東北大学災害科学国際研究所所長)を設置し、協議会の取り組み方針等について産学官の有識者から広く意見をいただいた(図2)。検討会では協議会の取り組み方針に賛同いただき、教訓を伝えるための取り組みについてさまざまな提案があげられた。震災伝承施設を巡って学ぶためのホームページやパンフレットの作成、企業や地域社会、修学旅行向けの防災教育プログラムの提供、防災ツーリズム等のツアーの提案などである。平成31年3月にまとめていただいた提言では、幅広い取り組みとするため、産学官民の連携した推進体制を早急に構築すべきとのとりまとめをしていただいた。産学官民の連携による「3.11伝承ロード」の構築が求められている(図3)。各機関の連携体制への気運が盛り上がる中、学術界、経済界が中心となってこの取り組みを支援する一般財団法人「3.11伝承ロード推進機構」が令和元年8月に設立され、活動がスタートした。震災伝承検討会の提言で指摘されたとおり、「3.11伝承ロード」の取り組みには産学官民の連携が不可欠であり、3.11伝承ロード推進機構の今後の活動に大いに期待するところである。詳細はP54~55参照。■ おわりに「防災意識社会」の構築には、行政・住民・企業のそれぞれの主体が、災害リスクに関する知識と心構えを自分ごととして理解しなければならない。しかしながら、これを実体験として学べる場所はまだまだ限られていると言ってよい。そのような中、戦後最大の自然災害を受けた東北には、発災当時の実情・教訓をリアルに伝える資料、写真、映像、構造物、建物などがたくさん残されている。また、当時の様子を詳しく伝える語り部活動も盛んに行われている。これらの貴重な防災学習の機会を全国各地の防災力向上に活かさない手はない。折しも、3.11伝承ロード推進機構では、ニーズに応じて震災伝承施設を巡り学ぶ防災・伝承ツアーをスタートした。災害が起きてからでは遅い。「3.11伝承ロード」の取り組みは始まったばかりであるが、行政・住民・企業のそれぞれにとって、この先駆的な取り組みが全国各地の防災意識社会構築の手掛かりとなれば幸いである。※)震災伝承施設ホームページhttp://www.thr.mlit.go.jp/sinsaidensyou/sisetsu/index.html図3 「3. 11伝承ロード」のイメージ【座長】今村 文彦東北大学災害科学国際研究所所長【委員】学識者南  正昭岩手大学教授小沢 喜仁福島大学教授涌井 史郎東京都市大学特別教授民間団体海輪  誠(一社)東北経済連合会会長鎌田  宏東北六県商工会議所連合会会長小縣 方樹(一社)東北観光推進機構会長平田 尚久(一社)日本建設業連合会東北支部長千葉 嘉春東北建設業協会連合会会長等々力 健日本放送協会仙台放送局長自治体小林  眞八戸市長山本 正徳宮古市長亀山  紘石巻市長清水 敏男いわき市長【アドバイザー】徳山日出男政策研究大学院大学客員教授図2 震災伝承検討会委員Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020 053