ブックタイトルConsultant287

ページ
56/86

このページは Consultant287 の電子ブックに掲載されている56ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant287

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant287

■ はじめに一般財団法人3.11伝承ロード推進機構(以下、伝承機構と言う。)は、産学官民が連携し、東日本大震災の実情や教訓を伝承する組織として令和元年8月1日に発足した(写真1)。本稿では伝承機構の発足の意義と取り組みについて紹介する。■ 伝承機構設立の経緯と意義震災伝承の必要性は発災2か月後の「復興構想7原則(」東日本大震災復興構想会議)でも指摘されていたが、被災地全体としての進め方については平成30年7月に設立された「震災伝承ネットワーク協議会」が打ち出した「3.11伝承ロード」構想でようやく動き出した。震災伝承や伝承施設をネットワーク化する構想で、この具体化に向けて産学官民が連携した推進体制を早急に構築すべきとの提言が「震災伝承検討会」によりまとめられた。これらの動きに呼応するように、平成31年4月には4学術団体(学都仙台コンソーシアム、東北大学災害科学国際研究所、自然災害研究協議会東北地区部会、日本自然災害学会)が「震災伝承に関する産学官民の連携による体制構築」に関する緊急提言を発表した(写真2)。学の立場から「3.11伝承ロード」を進める体制に積極的に参画することを宣言するものであった。続いて令和元年5月には、東北経済連合会の海輪会長が「第3回わきたつ東北戦略会議」の冒頭の挨拶の中で、産学官民の連携体制構築へ参画する意思を表明し、体制づくりが動き出した。そして8月1日、民間主導による産学官民が連携した「一般財団法人3.11伝承ロード推進機構」が設立された(図1)。設立式典は仙台市内で約120名が出席し盛大に執り行われた(図2)。石井国土交通大臣(当時)からのメッセージも届き、「先進事例」との評価も頂いた(図3)。祝賀会には国土交通本省から五道水管理・国土保全局長にも駆けつけていただき、観光庁の冨樫観光地域振興課長の参加も含め、国の政策の一翼を担う重要な任務と身の引き締まる式典となった。■ 伝承機構の活動被災地には「震災伝承ネットワーク協議会」が登録した震災伝承施設が約200施設ある。これらの施設を国内外の多くの方に巡り学んでいただくために、伝承機構の活動を展開していきたいと考えている。当面の活動として、1. 情報発信・広報、2. 防災・伝承ツアー、3. 啓発活動を中心に進める予定である。産学官民の連携による震災の教訓の伝承?動き出した「3.11伝承ロード推進機構」?一般財団法人 3.11伝承ロード推進機構/ 事務局長原田 吉信 HARADA Yoshinobu写真1 設立式典写真2  緊急提言を東北地方整備局に報告054 Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020