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Civil Engineering Consultant VOL.287 April 2020 073懸賞論文(学生論文)審査結果の報告一般社団法人 建設コンサルタンツ協会広報事業専門委員会2019 年度は「あなたが市長なら、どのような“まちづくり”をしたいですか?」および「あなたの暮らしを豊かにする土木技術の今と未来」の2テーマで、昨年6月1日から4ヶ月間(締め切り9月30日)「学生論文」の募集をしました。募集の結果、大学院、大学あわせて12 編の応募をいただき、特別賞3編を選定しましたので、概要を紹介します。なお、論文の審査は、審査基準に基づいて広報事業専門委員会で表彰候補論文を選出し、倫理・表彰委員会で最終決定しました。● 特別賞(1)『水上公共交通を中心とする水都の再生?「待たずに乗れる『水面電車』」の提案?』芝田涼希氏(大阪市立大学)■ 論文概要都市の水上交通について、景観や親水空間としての都市利用を超えて、鉄道やバスと同じく公共交通の一つとなる「水面電車」を提案しています。その中で、バンコクを例示し、陸上交通の整備が進む都市での水上交通の役割として、専用移動路を持つことによる定時性の確保、優れた速達性、運行頻度の高さと廉価なサービス提供をあげています。また、水面電車は、交通の利便性を向上させるだけではなく、持続可能な社会のために交通事故の減少やエネルギー効率改善等に貢献するとし、さらに水辺空間への投資拡大や河川整備による水質維持・改善、生態系保護、災害に対する強靭性及び適応能力の強化についても言及しています。■ 論文講評都市部における交通システムの課題に対して、歴史的な背景や事例を踏まえながら、水上交通と地下鉄やトランジットモールを連携させて利便性を高めるという具体的な提案がなされていました。また、文献等での裏付けがされており端的で説得力があったことを評価して特別賞と致しました。水上での渋滞や事故リスクに対する安全運航の方法、現状の都市形態との親和性等について、実現に向けた提案があるとより良かったです。● 特別賞(2)『島の宝を運ぶバス運行計画』原口玲奈氏(鹿児島大学)■ 論文概要鹿児島県和泊町を題材に、少子高齢化が進み財源確保が難しい島において、「コンパクトな町」、「自家用車がなくても不便しないまちづくり」、「子どもたちの健やかな成長」という公約を掲げ、学校施設の統廃合や路線バスの供給過剰の解消を目指す計画を提案しています。その中で、類似地域の喜界町が過去に行った施策を例として、和泊町が財政的な制約があることを踏まえながら、小学校4 校と中学校2 校を統合して公共施設のスリム化を行い、さらに、スクールバスとして路線バスを利用することで児童の通学手段不足と路線バスの供給過剰を解消・低減する提案がなされています。また、役場の部署間の壁を越えた連携や、学校再編に関する地域感情としての「地域持続願望」、バスの運行収入による資金不足問題の解決にまで言及し、提案の実現可能性について検証を行っています。■ 論文講評和泊町の持続的な発展において、最も重要と思われる課題に絞った公約が明確で分かりやすかったです。自ら実態の検証、行政へのヒアリング等を行い、問題解決に向けた考察や財源を含めた提案がなされていることから、その実現性の高さを評価して特別賞と致しました。地域住民のメリットの創出や小・中学校の統廃合における問題点の具体的な検討、提案等があるとより良かったです。