一般社団法人 建設コンサルタンツ協会 九州支部

コラム

夢アイデア事業も、コロナ禍の中で難しい活動を展開しており、”再発見”という観点から、過去の未掲載コラムを掲載します。

「唄は夢 夢は唄」

平成16年3月

 皆様 こんにちは。最近の日本はまるで唄を忘れたカナリヤのようで、ちょっと寂しい思いがしています。だから、というわけでもないのですが、私たち建設コンサルタンツ協会九州支部では「夢・アィデア募集」を試みています。

 「道の駅」の誕生は、十二、三年前、中国地域づくり交流会で、ある主婦の「道路は困るんよ。渋滞しても用を足せない。道にも駅があればいいのに・・・」との発言がきっかけでした。あれは道路行政とユーザーとの間に温かい接点をもたらしました。

 これからの社会資本整備には、このような生活者の意見や感覚を取り入れることが不可欠だといわれます。国土交通省の「民間活力の積極的活用など、新たな発想、創意工夫に基づく社会資本整備の展開」の方針に沿って、生活者の「夢」や「ぼやき」、アィデアを聞いてみましょう。あわよくば、アッと驚くヒント、二匹目のドジョウがいるかも、というわけです。

 十四年度から二年目で一四〇編の応募をいただきました。たとえば、ばりばりのキャリアウーマンは、妊婦になって初めて身の周りを見渡して、わが子に遊ばせる安全な道路も場所もないことを知って愕然とします。そこで、道路の歩行者専用時間帯が欲しい、との提案が生まれました。①幹線道路に囲まれたゾーンを、午後の一定時間、子供の遊び場にしたい。車は原則禁止。緊急の場合でも歩行速度以下とします。②九州横断道と縦貫道のジャンクションに、縦横の乗り入れ駅・「鳥栖バス駅」をPFIで設置します。駅ビルには、温泉、休憩場、土産物売り場も併設します。③陸地に飛行場建設がいらない水上飛行艇で空路を開設したら? 沖縄本島と離島間とか、福岡と山陰さらに北陸など需要が少ない所を結んでは? ④庭木に餌台を置く「呼鳥の庭づくり」運動はかわいらしいですね。

 応募者は主婦や学生も多く、公共事業への親近感にも役立っているようです。実現に向けてPFIなど様々な検討が始まれば、新しい社会開発にも結びつくでしょう。

 さて、健康美が立派な骨格に支えられるように、国土もまたそうだろうと思うのですが、愛する国土への国民の夢がしぼんでいるのが最大の問題! 狭い歩道の真ん中に陣取る電柱をよけながら乳母車を押すお母さん。これでは少子化は当たり前ではないでしょうか。最近の公共事業ヘの逆風を変えるためにも、こうあってほしい! そんな夢を育て、かつ語ることが大切だと思うのです。では、夢を育てるきっかけは? その一つは、用、強、に、これまで余裕がなかった「美」を、社会資本整備に追加することではないでしょうか。もつと大胆に、パリやロンドンのように、土木家は、社会資本に芸術を持ち込むべきだと思います。夢を創りだす国土整備が次の夢を生み、新たな需要創造につながっていく・・・、『唄を忘れたカナリヤは象牙の船に銀の櫂 月夜の海に浮かべれば 忘れた唄を思い出す』・・・・・のですから。

針貝武紀
夢アイデア特別委員会初代委員長
夢アイデアホームページ