山陽新幹線新神戸駅の北側にある遊歩道を、生田川の渓流に沿って登っていくと眼面に巨大な石張り堰堤が現れる。この堰堤は俗称を布引ダム、正式には布引五本松堰堤という。水道専用施設として、1900年に建設された、日本で最初の重力式コンクリートダムである。堰堤高33.33m、堰堤頂長さ110.3m、有効貯水容量は約76万m3を誇り、規模は当時最大級で市民35万人に給水する施設であった。
堰堤の表面は型枠がわりに使用された石積みで覆われ、巨大な城壁を思わせる。堤体の上部にはデンテル(歯飾り)が施されており、ヨーロッパ古典様式の風格ある外観である。
神戸市の水道施設は、東京都、函館市、長崎市、横浜市、大阪市、広島市に次ぎ日本で7番目にできた近代的水道施設であり、その水道水は「赤道を越えても腐らない水」として世界の船舶関係者から称賛されるなど、「kobe
water」の名で親しまれていた。阪神淡路大震災にも耐え、100年を経過した現在も神戸市の貴重な水源として活用されている。
布引ダムは1998年に文化庁より登録有形文化財の指定を受け、さらに2006年7月には、布引ダムをはじめ神戸市中央区の布引水源地の9施設が、国の重要文化財に指定された。
【アクセス】
JR阪急線「三宮駅」で地下鉄に乗り換え「新神戸駅」より徒歩約30分。
【地図】
googleマップで布引ダムの位置を確認する
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