日本の土木遺産

南河内橋
湖面に赤が映える南河内
■ 湖面に赤が映える南河内

最後のレンズ形トラス橋「南河内橋

横から見たシルエット
■ 横から見たシルエット

南河内橋はJR小倉駅の南西約10km、北九州市八幡東区内を流れる大蔵川上流にあるダム湖の鉄橋である。
919〜1927年にかけて行なわれた八幡製鐵所の河内貯水池建設に伴って架橋された橋長132.97m、幅員3.6m、2径間の鋼製レンズ形トラス橋である。
南河内橋の構造形式は、側面から見ると凸レンズの形状をしているトラス(真直ぐな材料を点で三角に繋いだ構造)であることから、レンティキュラー(レンズ状の)トラスと呼ばれる。この構造の歴史は古く、はじめは19世紀前半のイギリスやドイツで鉄道橋として用いられた。その後アメリカに技術が伝えられると道路橋として数多く架橋され、1870年代から20年ほどの間に、アメリカ全土で300橋以上が架けられ、そのうち50橋ほどが現存しているとのことである。
日本では、1920年代に建設された群馬県前橋市の「大渡橋」や同県桐生市の「桐生橋」が、レンティキュラートラスとしてわずかに確認されているが、既に撤去されており、南河内橋のみが現存する。
赤く塗装された南河内橋の優雅な曲線美は、どこかユーモラスでノスタルジックである。また、周囲の山々の緑と湖面の青に映え、独特の景観を醸し出している。地元では眼鏡橋という通称で知られ、レンズ形の側面が水面に映る姿から魚形橋とも呼ばれており、鉄の町・八幡のシンボルとして訪れる市民に親しまれている。

【アクセス】
JR「八幡駅」から西鉄バス「田代行き」で堰堤前から奥田入口までの間で下車。

【地図】
googleマップで南河内橋の位置を確認する

「Consultant」241号

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