デンマークの首都コペンハーゲンにあるニューハウン(新たな港という意味)は、1671年から工事を開始し1673年に完成した幅30〜40m、長さ400mの掘削によって作られた小さな港である。建設当時の護岸構造は不明だが、1916年の改修工事では、当時発表されたばかりの土質工学理論を用いて設計された控え杭式矢板護岸と呼ばれる構造形式で施工された。また1952年の修復工事では、部材をそのまま活用して水の上に出ている朽ちた部分のみを木材で繋いでいる。この護岸の特徴である木材のフレームは、停泊する木造の帆船を守るために設けられたもので、船からの乗り降りや散策者のベンチ代わりにも用いられている。ただし近年施工した港口部付近は護岸にアルミ製の矢板を用いた区間もある。
ニューハウンが建設された位置は、海流によって海水が常時入れ替わるために水質が良く、ヘドロが堆積しないので浚渫の必要がなく、また潮位が年間を通じて殆ど変動しない。当時の技術者が自然条件を知り尽くして地点を選定したことが伺える。現在のニューハウンは、コペンハーゲンで最も有名なウォーターフロントである。お洒落なカフェ・レストランやアンティークショップが軒を連ね、北欧を代表する観光スポットとして多くの人々が訪れる。
【アクセス】
「コペンハーゲン・カストロップ国際空港」からデンマーク国鉄で約16分、「ノアポート駅」で地下鉄M2に乗り換え2分で「コンゲンス・ニュートーゥ駅」下車。
【地図】
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